秋田公立美術大学大学院(秋田市新屋大川町)がシリーズ開講する市民向けオンライン講座の最終回が10月7日、「ブラックライブズマター(BLM)」を題材に開かれ、受講した関係者を含む33人がアメリカの社会問題への理解を深めた。
同大学大学院が展開する「AKIBI複合芸術プラクティス 旅する地域考 alternative」の一環として、地域の枠組みや役割を現代の社会課題に紐づけて考察することなどを目的に、9月23日から毎週水曜に「水曜の地域考」と題して開く講座。
最終回の講師を務めたのは、アメリカ・カリフォルニア州在住の映画評論家でコラムニストの町山智浩さん。オンライン会議システムのチャット機能を活用して、町山さんが受講者の質問に応えるなど双方向性を生かしながら進められた。
町山さんは、BLMのデモの様子を動画で紹介したり、人種ごとの犯罪発生件数に関するデータを示したりしながら、日本のマスメディアによる報道の多くが、現地の正確な状況や本質を伝えられていないことを指摘。自身の体験を交えながら、アメリカ社会に根強く残る人種偏見や利害関係を重視する社会構造、警察制度などに加え、建国の歴史を踏まえ「(不当な権力などに対する)市民の不服従」を教える教育が小学校でも行われていることなどが、アメリカ市民の行動の根底にあることを解説した。BLMへの理解につながる映画作品も紹介した。
同事業を統括する同大学院の岩井成昭(しげあき)教授は「多様なコミュニティーが重なり合う社会で、地域を支える秩序のあり方について考察を深めることができた」とまとめた。