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不妊治療の支援事業に注目集まる 秋田のNPOが治療に理解訴え

不妊治療の支援事業に取り組むNPO法人フォレシア(秋田市)代表理事の佐藤高輝さん

不妊治療の支援事業に取り組むNPO法人フォレシア(秋田市)代表理事の佐藤高輝さん

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 NPO法人フォレシア(秋田市中通5、TEL 050-5490-5950)が取り組む不妊治療の支援事業が、現在、注目を集めている。

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 5年にわたり、夫婦で不妊治療を受けた経験を持つ秋田市在住の佐藤高輝(こうき)さんが、2017(平成29)年から運営する同NPO。現在、不妊治療経験のあるキャリアコンサルタントや不妊症看護認定看護師などの専門家が、NPOと提携する企業の社員から受ける相談にLINEを使ってアドバイスしたり、職場の理解を得るための企業担当者向けセミナーを企画したりするなどの支援事業に取り組む。

 少子化対策の一環として、菅首相が、高額な治療費を伴う不妊治療の費用負担軽減を打ち出したことを受け、連日のように県内外の通信社やテレビ局、ネット媒体の取材を受けるなど、同NPOの活動に注目が集まる。

 佐藤さんは「経済的な負担が軽くなることは大きな前進」と政府の方針を評価しながら、「それだけでは不十分」とも。不妊に悩む夫婦の割合は、約6組に1組との統計から「全国で最も少子化の進む秋田県内だけでも、9000組近い夫婦、およそ1万8000人が不妊に悩んでいる」(佐藤さん)と推計するが、不妊治療に対応できる県内の医療機関は3カ所ほど。地域間で受け入れ態勢の格差が大きいことに加え、「頻繁な通院を伴うことの多い不妊治療に対する企業や社会の関心が低い現状から、それまで勤めていた職場を離れざるを得なかったり、逆に、治療自体を断念するケースも少なくない」と指摘する。

 不妊治療をきっかけとする離職者と求職者が、医療や福祉などの業種に多いことも分かってきたことから、現在、治療に理解を示す企業の求人情報などを集めたマッチングサイト「CHOICE POCKET(チョイスポケット)」の開設準備を進める。

 佐藤さんは「不妊治療は、これからの社会にとって重要な課題。当事者の悩みに向き合いながら、企業や行政、地域の理解を得られるよう働きかけていくことができれば」と話す。

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