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秋田美大で「中央と地方」考察講座 新聞記者がイージス報道題材に

オンライン講座で講師を務めた秋田魁新報社記者の松川敦志さん

オンライン講座で講師を務めた秋田魁新報社記者の松川敦志さん

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 秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)が9月23日、地元紙記者を講師に招いたオンライン講座「水曜日の地域考」を開いた。

市民向け講座でモデレーターを務める秋田公立美術大学大学院の岸健太教授

 同大学大学院複合芸術研究科の岸健太教授がモデレーターを務め、週替わりでゲスト講師を招き3週連続で開講する市民向け講座の1回目。同大学が展開する「AKIBI複合芸術プラクティスー旅する地域考 alternative」事業の一環として、「転調する地域」をテーマに地域の枠組みや役割を再考することなどを目指して開く。

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 秋田魁新報社記者の松川敦志さんを講師に迎えて開いた当日、関係者7人を含む市民28人がオンラインで聴講した。

 2017(平成29)年から、秋田市と山口県阿武町を配備候補地に進められた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画が、6月に撤回されるまでを追った約1200本におよぶ記事の同新聞社取材班代表として携わった松川さん。

 社内に軍事や安全保障に関する専門知識を持つ記者がいない中、住宅地に隣接しながら候補地とされた秋田市の自衛隊新屋演習場が適地といえるのかについて、「後世の検証に耐えるだけの報道でなければならない」との使命感から、1年半にわたり国内外で取材・調査を続け、防衛省のずさんな調査により候補地に選定されていることを突き止めた。

 報道機関として初めて報じた同新聞社の記事が引き金となり、それまで配備地の選定に関心の薄かった全国紙やテレビ局が相次いで報道。「中央集権的なメディア界」(松川さん)において、地方紙の矜持を示した。一連の報道で、2019年度の「新聞協会賞」を受賞した。

 新聞記者の立場から松川さんは、地方紙の役割や全国紙との関係などに関する考察を交えながら「必ずしも中央というハブを介することのない、地方メディアによる連携の可能性」などについて持論を繰り広げた。レクチャー後、「メディアリテラシー」「読者ターゲット」「匿名ではなく、実名で報じる必要性」などをキーワードに聴講者から寄せられた質疑に応じた。

 岸教授は「当講座は迎撃ミサイルシステムの賛否を問うものではないが、松川さんのレクチャーからは、市民感情やビジョンを共有しながら、広がりを持つ動きにつなげることの大切さなど、広い視座を与えられたのでは」とまとめた。

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