新型コロナウイルス感染の広がりを受けて、現在、秋田市内の企業や団体の間で支え合いの輪が広がる一方、飲食店や宿泊施設などは対応に苦慮している。
社長のトップセールスで宿泊客を集める秋田市内のビジネスホテル
3月2日から小中高校の臨時休校措置が取られている秋田市は、7日、市内に47施設ある一時的な児童の受け入れ先の待機状況をまとめたリストをオープンデータ化。地域情報のオープンデータ化を推進する「コードフォーアキタ」が同データを活用し、独自に集めたデータを加えるなどしてスマートフォン向けウェブページを作成した。
児童の受け入れ施設の収容態勢が十分ではないことから、市内の福祉施設やスポーツ施設などが一時預かり先として名乗りを上げるほか、洗車サービスなどを手掛ける「ホワイトシード」(広面字土手下)は「自宅待機する子どもの工作の素材に」と、段ボールなどの包装資材の無償提供を始めた。
建築設計事務所「住まい工房S」(寺内大小路)は、これまで対面や講習会場などで応じていた建築・施工に関する相談に、ウェブ会議サービス「ZOOM(ズーム)」を活用。「お客さまに予定通りのライフプランを実現してもらいたい」(土田鐘子社長)と、ネットで相談を受け付ける。
外出を控えるよう呼び掛けられていることに伴い、予約のキャンセルや来店客の減少に苦しむのは、飲食店やイベント主催者など。積極的な来店や来場をうながしにくいことから対応に苦慮する一方、テークアウト需要は高まる傾向も。2月下旬に秋田市民市場内(中通4)にオープンしたナポリピザ専門店は、店内に10席ほど設けるイートインを中心に開業したところ、店主の想定を超えるテークアウト客で多忙になった。
県内で予定されていたイベントの中止や延期が相次ぎ、出張・観光客の減少により空室が目立つ市内宿泊施設は、宿泊料を値引きする動きが見られるほか、官庁街にある「ホテルアルファイン」(旭北栄町)は、同社社長がトップセールス。SNSなどで宿泊を呼び掛けるなどし、3月上旬の予約数はキャンセル数を上回った。
同ホテルを経営するトラパンツ(同)の長谷川敦社長は「今月は稼働の維持に必死。4月以降の状況は、さらに厳しくなることが見込まれるが、前を向いていくしかない」と苦しさをにじませる。