企画出版などを手掛ける「オフセンター・ダイアログ」(能代市)は11月10日、東北のアート情報誌「北風-創刊準備号」の配布を秋田市のアートスペースや美術館など東北6県で始めた。
同誌を発行するのは、音楽や映画などカルチャー情報を扱う月刊誌「バァフアウト!」などで編集に携わってきた富樫勲さん。東京で編集作業や雑誌作りにかかわるなか、「地元秋田や東北の情報が東京では見えにくいと感じた」ことから、新しい文化的取り組みの発信を地方発のメディアで行いたいと7月、秋田に帰省。知人と同社を立ち上げ、同誌の発行準備を進めてきた。
創刊準備号では、秋田出身の芸術家・村山留里子さんと秋田市のアートスペース運営者の対談や、宮城県登米市の農業と音楽のコラボレーション企画の取材記事などを特集したほか、独自の視点から音楽やアートイベントの選評も掲載した。
富樫さんは「芸術作品には、価値観が変容する『今』以降の時代の生活を潤すヒントがある」とし、「東北出身者には潜在的に根付いた独自の感性があるのでとも感じる。東北の文化発信ツールの一つとして、首都圏やほかの地方と刺激し合える媒体になれば」と話す。「地域文化の発展のためには、情報の共有や首都圏への情報発信などで団結した行動も必要では」とも。
現在、秋田市のギャラリーやレコード店など16カ所のほか、東北6県と首都圏の美術館やカフェなど約200カ所に設置する。
隔月刊で毎号1万部を発行。B5判16ページ。創刊号は2010年1月の発行を予定する。