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秋田で「格好つけない」ブランディング展 木型会社がストーリーを展示

3年がかりで完成させた木型製作所「角館きがた」(仙北市)のロゴマークと同社社長の佐藤励さん

3年がかりで完成させた木型製作所「角館きがた」(仙北市)のロゴマークと同社社長の佐藤励さん

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 仙北市角館の木型製作会社のブランディング過程を紹介する展示会が、現在、アートスペース・ココラボラトリー(秋田市大町3、TEL 018-866-1559)で開かれている。

展示会の来場者に進呈する「大黒様」

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 展示会を開くのは、角館きがた(仙北市)の社長で彫刻家の佐藤励さん。自社のブランディング過程を掲載した文章や写真パネル約80点と、制作物や道具類30点以上を展示する。

 彫刻技術を生かした看板や和菓子に使う木型、伝統工芸品の仕込み型などのほか、国指定重要無形民俗文化財の「角館祭りのやま行事」で使う人形制作などを手掛ける、1972(昭和47)年創業の同社。父の正美さんから事業を継承したのを機に「自身の進むべき方向を定めたい」と、友人でグラフィックデザイナーの澁谷和之さんと二人三脚で、2020年から約3年かけて自社のブランディング作業に取り組んだ。

 家系や家業を調べるうち、1954(昭和29)年頃に作られた、豆腐店を営んでいた祖父母から受け継いだ高さ14センチほどの木彫りの大黒様を見つけた。残されていた古い写真を参考に豆腐を固めるための木型を再現したり、「乾漆」や漆に豆腐を混ぜる技法「絞漆(しぼうるし)」などの新たな技術を習得したりしながら、自身のルーツを見つめ直した。

 多くの個展や公募展に出品するなど、25歳から彫刻家として活動する現在44歳の佐藤さん。「出来栄えを確認しながら、より良く見せようとする彫刻作業の癖からか、格好をつけて見せることがあった」ところ、澁谷さんに「格好つけないことが大切」との指摘を受けた。「身構えずに制作した」という大黒様をロゴマークに決めた。大館市や仙北市角館の神社から、神馬(しんめ)などの修復依頼も舞い込むようになった。

 「これまでの取り組みと展示会を通じて、家業への誇りと事業を継承していく意志を固めることができた」と佐藤さん。「覆い隠すものをなくして、自身をさらけ出すようなストーリーを展示する。皆さんにご覧いただければ」と話す。

 営業時間は11時~18時(最終日は17時まで)。入場無料。来場者に佐藤さんが制作した「大黒様」進呈する。12月11日まで。

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