秋田県内で収穫されずに放置される柿の実の活用に取り組む能代市在住の柿木崇誌(かきのきたかし)さんが、現在、事業を本格化させている。
県内の民家や田畑に残る柿のほとんどが渋柿のため、食用には手間のかかる加工が必要なことや、労力を要する収穫作業が、木の所有者の高齢化などにより行われないまま放置されることの多い柿の実。近年、餌を求めるクマが柿の実を目当てに民家に近付く例も見られるなど、住民に危害が及ぶ恐れのあることなどから、自治体は栽培を目的としない木の伐採を呼びかける。
管理の行き届かない柿の木が地域課題になっていることを知った柿木さん。木の所有者などに代わり、柿の実を収穫してドライフルーツなどに加工・販売する事業を立ち上げ、10月中旬から収穫を始めた。柿の実を材料に1人で手作りするドライフルーツの商品名は「ドライ渋柿 かきのきのき」(50グラム、648円)。県内の道の駅やイベント会場などに「柿専門店かきのき」の屋号で出店するなどし、これまでに150袋以上を販売した。柿を原料に新商品の開発も進める。
「長時間かかる作業は全て手作業のため高コストだが、一般的な干し柿よりも安くておいしいと好評。売り上げは想定以上」と柿木さん。「地域資源の有効活用と地域課題の解決につなげられるはずと始めた事業だが、多くの皆さんに評価いただいていることが励み。『畑を持たない農家』として展開できれば」と意欲を見せる。
11月22日、秋田拠点センター・アルヴェ(秋田市東通仲町)で開催予定の物販イベントなどに出店するほか、ネット通販にも対応する。問い合わせは、柿木さん(TEL 080-7065-9096)まで。