秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)は9月12日、地域課題と美術の関わり方の研究やアートマネジメントができる人材の育成などが目的の「男鹿半島空き家ツアー」を行った。
同大の岩井成昭教授のグループが取り組む「ローカルメディアと協働するアートマネジメント人材育成事業」の一環。美術家と地域の「つなぎ手」を育成するワークショップ型レクチャーとしてシリーズ展開する。
工芸家やデザイナーの活動拠点「ものづくり集落」の形成を提唱するなど、男鹿市内で地域活性化活動などに取り組むカフェ経営の猿田真さんがツアーコーディネーターを務め、同大や秋田大学、国際教養大学の学生や社会人らアートマネジメントに関心のある市民約30人が参加して行われた。
人口減少が進み、空き家や廃屋が目立つ同市北浦・安全寺地区にある入居者募集中の空き家や利用中の物件などを回りながら、地域の現状について猿田さんが解説。「空き家の利活用における地域住民の理解を得られるよう気を配ることの大切さ」などを訴えた。参加者は「なまはげ」で有名な真山神社で地域の歴史などの解説も受けた。
大阪から参加した会社経営の男性は「外部へ向けて生かされていない地域資源の発見もあった。観光スポットとして売り出したり、グッズ展開したりできる。積極的に活用してみては」と提案。秋田市在住の女性は「空き家は制作環境や作品の保管庫としても魅力がある。生活圏としては職場や大学がある秋田市との移動距離が課題」とツアーを振り返った。
次回は10月18日、農民彫刻家の皆川嘉左エ門さんをツアーコンダクターに招き、これまでに皆川さん手掛けた秋田県南の神社や道祖神などを回りながら生活と芸術を結ぶ地域課題を題材に開く。参加無料。定員20人。事前の申し込みが必要。問い合わせは同大事務局・企画課(TEL 018-888-8478)まで。