特集

極超妄想イノべイター~武田昌大さん #03/すきかちっ Vol.5

  •  

記事提供:すきかちっ

思い描いたことすべてを実現し、ビジネスモデルのお手本のように見える武田昌大さん。しかし、その成功の陰には忘れられない涙もあった。今回の「すきかちっ」では、極超(ハイパー)妄想イノベーター・武田昌大さんの極泣追想エピソードに迫る。

企画は自分、そして運営は分担

Matirog「最近は、世間的に全部自分一人で仕事を担う傾向がありますが、僕は、絶対に僕でなければならない仕事に集中して、それ以外の部分は信頼できる人に任せ、仕事の回転率を上げていく方が、生産性が高いと思うんですよね。自分が不得意な分野は得意な人に任せて、全体の仕事を分割し、再度集積したほうが、作業効率も上がります。武田さんはどのように仕事をしていますか?」

武田「僕も最初のころは自分一人でしたが、今は違いますね。分担しないと業務が回りませんから」

Matirog「そうですよね!今、社員は何人いるんですか?」

武田「2社経営していて、バイトを含めると数十人います。そのうち、コアスタッフは数人ですね」

Matirog「組織として、ガバナンスはどうされているんですか?」

武田「『トラ男』『シェアビレッジ』『ANDON』の3つを手掛けていますが、今はそれぞれで任せています。トラ男であればお米の発送作業、シェアビレッジの日々の運営は、現地のスタッフに対応してもらっています。ANDONは店長とアルバイトに任せています。事業の多くは現場に任せて、僕自身が何をしているかというと、次へ向けた新しい仕掛け、未来の事業を作るために日々動いています」

武田「シェアビレッジであれば、現在、香川県の仁尾に2村目ができていますが、そこからさらに3村目、4村目と増やして行くために現地へ視察に行って話を聞いたりしています。ANDONも同じく、店舗数を増やすために動いています。トラ男の新しい商品開発も僕がしています」

Matirog「武田さんの仕事は、各チームが歩むべき道筋作りなんですね。武田さんがリーダーとなって道筋を作った後、どのようにチームで共有していますか?」

武田「それぞれの進捗状況の共有も兼ねて、日時を指定して定例ミーティングをしていますね。トラ男だけだった頃は、僕一人でもなんとか運営できましたが、シェアビレッジのプロジェクトが加わってからはスタッフも増えたので、定例ミーティングをすることにしました」

Matirog「定例ミーティングを始めようという時期は自然とやってくるんですね。一人でもこなせるけど、0.5人分だけ手を貸してほしいことってありませんか? 僕の場合は、0.5人の部分を、オンラインアシスタントにタスクごとに任せていますが、今後活動拠点のこの秋田県で人材を増やす場合、どのように進めていったらいいのか悩んでいます」

武田「僕の場合、プロジェクトメンバーは秋田県だけではなく日本全国に散らばっているので、ミーティングはオンラインですることが多いですね。例えばANDONを創った時は、デザイナーは岡山県、設計は千葉県や京都府というように、拠点がバラバラだったため、Skypeで毎週ミーティングをしていました。シェアビレッジも同様です。デザイナーのように専門スキルを持った人は、社員にするよりもプロジェクトメンバーの一員として依頼しています。チームの一員であれば同等の立場で働けますからね。チームと言えば、現在、北秋田市で新しくプロジェクトを企画していますが、秋田県在住の木工職人やデザイナー、そして企画担当の僕と数人でチームを組んで進めています。今後も社員を雇用するというよりも、プロジェクトベースで県内外の人材とチームを組んで、仕事を進めていく流れになるんじゃないかなと思います」

Matirog「誰かが主導権を握ってしまうと、いいアイデアが浮かんでも発言しにくい環境になってしまうことも多いため、最近ではコレクティブ・インパクトや産学官連携でプロジェクトを進める傾向がありますよね。武田さんが実行しているのは、それぞれの強みを出し合うコレクティブ・インパクトの方法だなと感じます。プロジェクトが決まったら、次にチームを構成する必要がありますが、人選はどのようにしているんですか?」

武田「プロジェクトのアイデアや企画を考えるのはだいたい1人で考えることが多いですが、面白いアイデアが浮かんだら、ある程度の人選を行った上で、それぞれに話を持ち掛けに行きます。定例ミーティングの日時は事前に決めていますが、結局はアイデアが浮かんだタイミングでメンバーに声をかけて、その日に集まってもらっています(笑)」

Matirog「思い立ったら即相談ですか! ビジネスにおいて、スピード感は大切ですよね」

武田「僕のケースで言うと、メンバーはそれぞれ事業者なので、スケジュールが調整しやすいですから」

Matirog「お金の話はどのタイミングでされるんですか?」

武田「僕のプロジェクトの場合は、売る人、作る人、デザインする人のように専門が分かれているので、それぞれの費用で作ってメリットを出しています」

失敗談ももちろんあります

Matirog「僕から見ていると、武田さんは思い描いたことすべてが順調に進んでいて、まさにビジネスモデルの成功例だと感じます。失敗談や、挫折感を味わったことはありますか?」

武田「いやいや、失敗だらけですよ(苦笑)。すぐに立ち直るようにしているので挫折のようなものを感じたことはあまりありませんが、泣いたことはあります…」

Matirog「え!泣いたんですか?」

武田「はい、心が折れすぎて、人前で泣いたことが2回あります」

Matirog「そのお話、ぜひ聞かせてください」

武田「2回とも『トラ男』で泣きました。1回目は、自分が主催のお米を食べてもらうイベントの時です。参加者の一人にお米に詳しい方がいて、『もっとうまい米がある』とトラ男米のことを悪くおっしゃるわけです。その場ではもちろん泣きませんでしたが、そのイベントが終わった後、とにかく悔しくて悔しくて、駅までの道のりを泣きながら歩きましたね。トラ男米の魅力をお客さんに伝える力が不足していたという反省もあり、このことがきっかけでよりお米に関することを学びました。最終的に原動力になりましたから、今ではいい経験だったと思っています。当時の僕はまだ20代で楽しさと情熱だけで取り組んでいたので、冷静に捉えられるほど成熟していなかったんですね」

Matirog「反省して、自分自身の糧にされたですね。僕が武田さんの立場だったら、わら人形で呪うかもしれません(笑)。2回目はどのような経験をされたんですか?」

武田「もう一つの方は、失敗で泣きましたね。僕が悪かったのですが、詐欺にあってしまったんです。とある会社から数トンのお米の発注が来て発送したにもかかわらず、お金が支払われませんでした…。注文した会社の住所は分かっていたので、実際に訪ねてみたのですが、そこに会社はなかったんですよ。注文を受けたときはその会社のホームページもあったんです。もちろん、今はその会社のホームページは存在していませんけど。人を簡単に信じてはいけないと学びましたね」

Matirog「数トンというと、かなりの損失額なのでは? 勉強代としては高いですね…」

武田「損失額も大きくて、それもまたショックだったのですが、なによりもトラ男の皆が精魂込めて作ってくれた大切なお米を失ったということが、本当にショックでした。大丈夫だろうと過信して、相手を信用し出荷してしまったのは、僕のミスです。通常であれば、納品前に支払いをお願いすべきでした。その時は居酒屋で一緒にいた会計士の前で泣きましたね」

Matirog「貴重な泣きの体験をお話しいただき、ありがとうございました!」

★次回、武田昌大さん「#04」は、8月6日配信予定です。 お楽しみに!

すきかちっ(Phiomn)