秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)のワークショッププログラム「AKIBI複合芸術ピクニック 秋田/沖縄」が9月11日、オンラインで始まった。
「当地の酒造りで大切なのは水」と話す福禄寿酒造16代目蔵元の渡邉康衛さん
国内外で活躍するさまざまな分野の専門家をゲスト講師に招き、同大学と同大学院複合芸術研究科が2015(平成27)年から展開する受講生公募型の地域考プログラム。「実験的な発想を自由に発表できること」などを目的に、2019年からは、公募に応じた大学生や社会人ら10人前後の受講生を対象に合宿形式で開く。
コロナ禍のため、昨年に続きオンラインを中心に開く今年度の題材は「秋田と沖縄」。非場所・距離・機動性・一時的・占有などのキーワードになぞらえて「ピクニック」と銘打ち、夏編と冬編の2回に分けて計15日間のプログラムを予定する。県内外の大学生や社会人ら11人が受講する。
「食のワークショップ」と題して開講したプログラム初日のゲスト講師は、福禄寿酒造(五城目町)16代目蔵元の渡邉康衛さん、食器類などを扱う「民芸パパヤー」(秋田市新屋表町)店主の阪本真千代さん、農産物などの販売促進を担当する秋田県庁職員の加藤はなゑさんの3人。同酒蔵が運営するカフェ兼交流スペースを配信会場に、約300年続く酒蔵の歴史や、米に対する両県民の価値観の相違、地域性などについて、3人の講師が沖縄との交流エピソードなどを交えながら紹介した。
レクチャー後、同事業を統括する同大学院教授で美術家の岩井成昭さんから「(3人のゲスト講師の話から浮かび上がる)キーワードは『土』」とのヒントを得たり、同教授で建築家の岸健太さんから「リレー形式で共有日誌をつけること」などの課題を出されたりした受講生は、14日以降、両県の自然環境や交易史、民俗学などの比較に美術や芸術の視点を加えながら、地域を知るための新たな視座の獲得を目指す。