名古屋コーチン・薩摩地鶏と並び「日本三大美味鶏」に数えられる「比内地鶏」の家庭向け需要の掘り起こしへ向けて、現在、関連各社が商品開発や販売に工夫を凝らしている。
縄文時代から、現在の秋田県大館市比内町周辺に生息し、1942(昭和17)年に国の天然記念物に指定された「比内鶏」。一代交配することで食用にできる「比内地鶏」は、ヤマドリに似た風味や濃厚なうま味が特長の高級食材として、主に外食産業向けに生後5~6カ月で出荷されるところ、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を受けて、生産が過剰になったり、一時的に需要が急増したりするなど、現在、生産者が安定した生産計画を立てづらい状況が続く。
秋田県と地域活性化包括連携協定を結ぶセブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区)は5月、昨年に続き比内地鶏を使う親子丼などを東北6県で販売。比内地鶏加工食品を多く開発するノリット・ジャポン(秋田市大町3)は、新商品の開発や通販サイトの運営などを通じて生産者支援に取り組む。秋田味商(潟上市)が販売するレトルト商品「比内地鶏カレー」(594円)は、5000食以上を受注する日もあるなど「コロナ禍以前に比べても好調」(工藤真史社長)だという。
秋田市と都内で比内地鶏料理の専門店などを8店舗展開する本家あべや(本社・東京都渋谷区)は、看板メニューの家庭調理向け商品「究極の親子丼」を発売。比内地鶏の鶏肉とタレ、鶏卵のセット(2人前2,200円~)や専用手鍋付きセット(同3,496円~)をネット販売し、調理のコツをまとめた動画をネットに掲載する。
本家あべやの広報担当者は「秋田を代表するブランドの比内地鶏と向き合う責任ある立場として、より多くの皆さまにおいしく食べていただけるよう努力していければ」と話す。