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秋田美大が「旅」演習の成果発表 鳥海山麓で「水環」テーマに

にかほ市の「象潟公会堂」で行われた秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)の学外演習の成果発表の様子

にかほ市の「象潟公会堂」で行われた秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)の学外演習の成果発表の様子

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 秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)が取り組む学外演習「AKIBI複合芸術プラクティス~旅する地域考」の成果発表が1月15日、にかほ市内で行われた。

秋田市在住のグラフィックデザイナーが発表した「旅」演習の成果作品

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 アーティストやアート周辺人材の育成を目的に、美術分野におけるリサーチ活動や表現活動を「旅」の体験になぞらえ、県内の特定地域に赴いて取り組む。文化庁の「大学を活用した文化芸術推進事業」の一環として、2018(平成30)年から夏と冬に分けて行う。

 4回目を数える今回は「辺境を酌(く)む冬編」と銘打ち、由利本荘・にかほエリアのほか、秋田と県境をまたぐ山形県遊佐町まで足を延ばして行われ、公募で集まった県内外の大学に通う学生や社会人ら10~40代の15人が受講した。

 日本海に面する同エリアが、鳥海山麓の水脈にも恵まれていることなどから、テーマを「水環(すいかん)」に設定。受講者は、同大学教授や映画監督など国内外の専門家のレクチャーやアドバイス、地元ガイドらの地域紹介などを受けながら、1月8日から7泊8日の日程で取り組んだ。

 成果発表の会場は、昭和初期築の木造2階建ての「象潟(きさかた)公会堂」(にかほ市)。参加者は「次なる旅につながること」を題材に、映像や写真、音声、立体造形物など、思い思いのスタイルで「旅」から得た印象などを表現し、同大学教授やゲスト講師らの講評や受講者の質問を受けるなどしながら発表した。

 京都市立芸術大学大学院1年の牧嶋平(おさむ)さんは、同エリアの海岸で拾得した救命胴衣や壊れたブイ、木片などの漂着物を2階に回廊のある館内空間を生かしてディスプレー。地域への考察を加えながら「循環から離れることの意味」などを表現した。

 同地域に残る「わら」を使った風習に触れた、秋田市在住のグラフィックデザイナー鎌田あかねさんは、男児のみを尊ぶ風習から受けた心象を下に、わらやカラフルなフェルトを素材の「土産」作品を制作。男女の立場を逆転させた表現を盛り込んで成果を発表した。

 同事業に取り組む同大学大学院教授でアーティストの岩井成昭さんは「回を重ねるごとに、参加者やスタッフに成長・進化の跡が見られ、プログラムの成熟度も高まっている。誰でもが持つクリエーティブな感覚で、新たな気付きを得ることができる当事業のメソッドは、美術以外の分野にも活用できるのでは」と振り返る。「テーマを『水環』にしたばかりに、冬にも関わらず初日から土砂降りに見舞われた(笑)。予定通りに運べない場面もあったが、改めて自然の営みへの気付きがあった」とも。

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