秋田市在住の郷土史研究家とイラストレーターが現在、秋田県内の「人形道祖神」を紹介する書籍の出版準備を進めている。
ワラや木などを材料に人形を作り、地域に疫病などの災いが入ってこないよう祈りを込めて村境などに立てる民間信仰の対象「人形道祖神」。秋田県内では、現在でも内陸部を中心に130体以上が作り続けられるなど、全国的に見ても広いエリアに風習が残る。
「ユニークな風習と造形に関心を持った」という郷土史研究家の小松和彦さんとイラストレーターの宮原葉月さんが、2017年から人形道祖神の取材を重ね、軽妙な文章とカラフルなイラストでまとめた書籍「村を守る不思議な神様」を昨年7月に自費出版したところ、6カ月ほどで約1000部を売り上げるなどの好評を得たことから、続編を企画した。
「カシマサマ」「ショウキサマ」「ニンギョウサマ」「ジンジョサマ」など、地域によりさまざまな名称で呼ばれる人形道祖神を当地のストーリーやイラストなどと併せて紹介する。
「秋田人形道祖神プロジェクト」を立ち上げて、風習の調査や研究に取り組む小松さんと宮原さんは「造形的にも文化的にも、プリミティブアート(原始美術)として世界に発信できる文化遺産だが、関わる住民の高齢化や村の過疎化が進んでいる。地域文化の魅力を伝えながら、記録を残していくことができれば」と口をそろえる。
続編は「前作を大幅に上回るページ数になるが、販売価格を抑えたい」と、現在、クラウドファンディングで出版費用の一部を募る。宮原さんが描いたイラストをあしらった手ぬぐいやトートバッグ、Tシャツなどの返礼品を用意する。
出版は、6月中旬~7月初旬を予定する。