乾電池が動力の特製車両をレール上で20キロ以上走らせる挑戦が11月3日、由利本荘市の第3セクター「由利高原鉄道」(鳥海山ろく線)を舞台に行われ、22.615キロを走破してギネス世界記録を樹立した。
パナソニック(本社=大阪府門真市)が同社製乾電池「エボルタ」の性能を実証するために企画した同イベント。ギネス世界記録認定のために定められたルールは、「市販の乾電池のみで車両を動かすこと」「車両だけで700キログラム以上」「距離20キロ以上のレールを走ること」など。
川越工業高校(埼玉県)の生徒13人が、幅1.5メートル、高さ2.9メートル、全長4.1メートル、重量1.1トン、同社製単1形乾電池600個を動力とする車両を設計・製作し、「前郷駅・矢島駅」間を往復するルートで記録に挑んだ。区間ごとに4~6人の生徒らが乗り込んだ走行時の車両重量は約2トン。
同路線の通常運行を止め、応援に駆け付けた地域住民らが見守る中、車両は「前郷駅」を12時30分ごろに出発。1時間30分ほどで折り返し駅の「矢島駅」に到着し、順調に走行を続けて15時ごろには記録認定条件の20キロ地点を通過。2時間47分かけて予定ルートを見事走破した。挑戦に立ち会ったギネス世界記録公式認定員のグリナズ・ウカソヴァさんから、「乾電池で走る車両が線路上を走行した最長距離」として世界記録の認定を受けた。
「大変なこともあったが、この仲間で記録を達成できてうれしい」と同校電車班の槻木澤拓海さん。同社広報担当の中和田美紗さんは「雨に降られる場面もあったが、車両のスピードも落ちることなく無事記録を達成することができた。これからも当社乾電池の性能を実証する挑戦を続けられれば」と振り返った。
同社は2014年9月、乾電池を動力に使った電車の有人走行の実証実験を「旧小坂鉄道廃線」(大館市)で行い、成功している。