地域課題と美術の関係について考えるシンポジウム「辺境と芸術 アートは地方といかに向き合うのか?」が8月8日、秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)で開かれた。
同大の岩井成昭教授のグループが「地域課題研究+ウェブメディア」と題して展開するプロジェクトの一環。地域課題に対する芸術の関わり方や可能性を探ることを通じ、美術家と地域の「つなぎ手」を育成することなどが目的。地域情報を扱うウェブマガジンと秋田経済新聞が協力する。
金沢美術工芸大学准教授の芝山昌也さん、沖縄県立芸術大学准教授で美術批評家の土屋誠一さん、秋田公立美術大学教授の藤浩志さんの3人を講師に迎え、「地方・地域・辺境」と「アート」をキーワードに開かれた。
秋田県上小阿仁村を舞台にアート事業に取り組む芝山さんは、美術家が地元住民と連携しながら地方から文化を生み出すことの意義について解説。土屋さんは、文化的価値基準を判断できる専門家が地方において不足している現状と課題について、佐賀県武雄市の図書館を事例に挙げながら持論を展開した。十和田市現代美術館(青森県)の館長も務める藤さんは、同市に移住する美術家らによって地域ブランディングに成功した事例などを紹介した。
同大学講師で人類学者の石倉敏明さんが進行を務め、3人の講師と行われたディスカッションでは、「辺境」ゆえのアクセスポイントとしての価値や個人と地域の関係性などについて活発な議論が交わされ、学内外から集まった約60人の参加者は熱心に聞き入った。
同事業は今後、「男鹿半島」「横手市十文字」「五城目町」を舞台に展開中の地域活性化事業を題材に、バスツアーによる研修を行う。参加申し込みは同大事務局・企画課(TEL 018-888-8478)まで。