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看護師辞めて、起業した。~ 山田綾子さん #04/すきかちっ Vol.6

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記事提供:すきかちっ

あなたが初めて歩き出した日を覚えているだろうか?子育てをする全ての人たちを支える場所「子育てラボ hateao(はてあお)」の広がりは、まるで子どもの成長のように尊く、速い。一歩一歩、秋田の母へと近づく山田綾子さんが登場する「すきかちっ」第6弾、最終回!

ゲームから学べること

Matirog「山田さんは、生き方や考え方、異なる価値観を持つ人と出会っても、その人のことを理解して対応できる能力が高いように感じます。多種多様な人たちが、ある程度の距離を保ちながら、うまく共存していくコツは何だと思いますか?」

山田「最近小学1年生を託児でお預かりしているのですが、その子どもたちには、『嫌いな子と無理して遊ばなくていいよ』と伝えています。なぜかというと、子どもでも好き嫌いという気持ちは芽生えてきますし、小学校へ上がると、保育園や幼稚園とは違うコミュニティーが生まれるからです。新たなコミュニティでー平等に仲良くなることは、大人でも難しいですよね」

Matirog「そうですね。僕自身サラリーマンのコミュニティは向いていないと思い、一度もどこかの企業に勤めてサラリーマンをしたことがありません」

山田「大人でもできないことを、子どもにさせるのは間違っています。世の中は多様な人種で成り立ち、異なる考え方をする人がいるのだから、自分と相性の合う人合わない人がいて当然です。それを、子どものうちから教えてあげたいと思っています。『嫌いな子と遊ばなくていい』と子どもたちに伝えることで、無理をしなくていいということを教えています。もちろん、嫌いだから無視をしていいわけではありません。その子が自分と合わなくても、ほかの誰かと仲が良いこともあるのですから、自分と合わない子を否定せずに、こんな子もいるんだ…と受け入れる考え方を覚えてもらいたいのです」

Matirog「嫌いな人がいなくなる世の中はあり得ません。嫌いな人を排除することが正しいのではなく、考え方の違う人の存在を受け入れることが大切ですね」

山田「この人は嫌いだとか、考え方が違うことだけにフォーカスするのは間違っています。最近はスマートフォンを使ったり、ゲームをしたりという子どもたちが増えていますが、これも現代のコミュニケーションツールの一つだと思っています」

Matirog「同感です。最近、北海道出身の元日本マイクロソフト社長、成毛 眞(なるけ まこと)氏の著書『本は10冊同時に読め-本を読まない人はサルである!生き方に差がつく超並列読書術-』(三笠書房)を読みました。タイトルからも分かるように少々奇抜な内容でしたが、著書の中で、テレビゲームはどんどんした方がいいという話がありました。AI社会になれば、ゲーム感覚で処理できる能力が高く評価されるようです。RPG(ロールプレイングゲーム)では、経験値を積み、戦略を練って次々と敵を倒していきますので、これからのAI社会に適応しているのでしょう。オール5の成績を目指さなくてもいいから、一つでも得意なものを見つけて、それを伸ばしていくことの方が大切だと著書で書かれていました。テレビゲームも、ときには大事ですよね」

山田「そうですね。私の子どもたちや託児でお預かりしている子どもたちがゲームの取り合いをしたときには、相手に対して頭ごなしに怒らないことを子どもたちに教えています。『○時になったら貸して』と時間を決めて相手に伝えることで、時計を見てゲームをすることが学べますから。ゲームに夢中になっているときに、単に『貸して』と言っても貸してもらえませんよね。その結果、『あの子はゲームを貸してくれないから嫌い』となってしまいます。そうではなく、『このゲームがやりたいから、長い針が3になったら貸してね』と伝えると、素直に貸してくれる子はたくさんいるんですよ。もし貸したくない子がいても『いやだ、貸さない』と突っぱねるのではなく、『今いいところだから、今は貸せないけど、これが終わったら貸すね』のように貸せない理由をきちんと相手に伝えるようにさせています。終わるまで、隣で一緒にいればたいてい貸してもらえますから。言い方を変えるだけで気分を害さないコミュニケーション術を、ゲームをしている場を通してでも子どもに教えることができます」

Matirog「コミュニケーション力を養う上でも、ゲームはいいツールですね」

山田「はい、順番を待つことも、時計の見方も覚えてくれます。もう一つ子どもたちに伝えているのは、ひらがなを読めないのであればゲームをするなということです。ゲームをしていると、画面に解説や主人公のコメントなどが出てきますよね。ひらがなが読めなくて、お母さんに読んでもらうのは間違っています。ゲームがやりたいのであれば、ひらがなを自力で読む必要があると子どもたちに分からせています」

Matirog「そうなると、子どもたちはゲームをしたいがために必死にひらがなを覚えようとしますね!」

山田「母が何もせずとも、自ら進んで勉強する子どもになります(笑)」

Matirog「お母さんが楽をしているように見えますが、実際には子どもの気持ちを尊重していることになりますね」

得意分野のシェア

山田「自宅を開放して子どもたちをお預かりしていますが、子どもたちが来たらまず、みんなで宿題をさせています。できない問題があれば、できる子が教えてあげて、分からないところは協力し合うシステムです。苦手な教科はどの子もありますが、一方得意な教科も必ずありますので、いいところをみんなで出し合ってもらうんです」

Matirog「得意分野のシェアですね」

山田「子どもたちが協力できるようになるまで、繰り返し説明する必要があり、時間はかかりましたが、そのうち自然とみんなで協力し合って宿題を終わらせるようになり、今は楽になりました(笑)」

Matirog「教えることで、さらに理解も深まりますからね。学習を定着させるには、先生がいる塾よりもいいような気がします」

山田「子どもたち同士で勉強を教えあうことで、自分とは違う人がいることや、自分はどういう人なのかという発見につながるのではないかと、期待しています」

Matirog「教育の見直しで、これから大学入試センター試験が変わります。これまでは一問一答形式で、ひとつの問題に対して一つの答えを導いてきました。これからは、問題解決力をはかるために問題そのものは何かを考える流れとなっていますので、得意分野を持ち寄って、チームで問題を解決していくことになります。『プログラミング』はIT用語ですが、本来の意味としては、物事を解決していくために必要な順番を分かりやすく書き出していくことです。時代と共に、子どもに求められる能力も変わってきているように感じますね」

山田「私たちの子どもの頃は遊ぶのが勉強で、自然から学ぶことが一般的でした。そのころから比べると、現代は随分デジタル化も進み、学び方も変わってきました。教育関係は勉強不足のため詳しいことはお話しできませんが、育児に関しては育児本を読んで学ぶよりも、実際にお母さんやお父さん、その子どもたちと話をして学ぶことの方が多いです。現場での生の意見を聞いて、何か問題があったときには解決策を自分なりに考え、自宅に持ち帰って子どもに接してみます。子どもたちの反応を見て、自分自身を評価し、解決策が見つかるまで繰り返し続けた結果、現在従事しているコミュニティーを作ることに成功しました」

Matirog「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを繰り返し実践されたのですね」

山田「看護師時代、何かあったら、処置の方法や検査結果などを元に患者さんに対応し、そして結果はどうだったか?という仕事を常に繰り返してきたおかげだと思います」

Matirog「看護師として働いていた時の経験が生かされていますね」

山田「はい、看護師時代の経験は無駄にはなりませんでした」

Matirog「今後の展望をお聞かせください」

山田「まずは、地域ぐるみの子育てサロンを作ることです。そして、固定給を出す団体になりたいと考えています。働きたくても何らかの事情で働けないお母さんやお父さんがたくさんいますので、そういう人たちに仕事を提供したいのです。子どもの具合が悪く、仕事を休まなければいけない状況になっても、お互いさまの精神で仕事を代わってあげられる環境作りもしたいですね。これを実現するためには、拠点が必要です。先立つものがないと夢に向かって進めませんので、現在引き続きスポンサーを探しています」

Matirog「素晴らしいプロジェクトなので、山田さんと対等にビジネスをしたい、サポートしたいという方は必ずいると思います!」

山田綾子がブランドです!

Matirog「山田さんにとって理想的なスポンサーはどのような人物ですか?」

山田「私の思い描いているプランに賛同してくれる人でしょうか」

Matirog「なるほど。投資者とバランスを取るのは難しいですが、投資してもらう側としては、お金を出しても口は出さない人が理想的ですよね」

山田「投資者からお金をいただいても、スタッフであるお母さんたちが働きやすい環境を整えたいです。スタッフであるお母さんたちの働き方まで投資者に売るわけではありませんから。人が集まるイベントを組める団体ではなく、サポートしてほしい人をサポートする団体を目指します。利用者が増えるとお金にもなりますが、それが全てとは考えていません」

Matirog「数×質=輪となり、お金になる仕組みを目指しているんですね」

山田「はい、これがブレてしまうと私の信頼も薄れますから、その気持ちは貫いていきたいです。困ったときに山田綾子に相談すれば、解決策が見つかるかもしれないという安心を提供していきたいです」

Matirog「ご自身がブランドとなるわけですね。女性起業家である山田さんのさらなる活躍が楽しみです!ありがとうございました!」

★次回~ダースエンターテイメント社長・浅野克紀さんの「ブラジル脳回転軸 #1」は10月1日配信予定です。お楽しみに!

すきかちっ(Phiomn)