提供:菓子舗 榮太楼 制作:秋田経済新聞編集部
秋田県や隣県の山野に自生するブドウを指す方言から名付けられた菓子「さなづら」。1883(明治16)年創業の老舗菓子店「菓子舗 榮太楼」(本社・秋田市高陽幸町)が1957(昭和32)年に発売して以来、秋田銘菓の一つに数えられる。今春、およそ50年ぶりにリニューアルを果たした。
山ブドウ果汁に寒天などを加えて作る半透明のゼリー状の菓子「さなづら」。山ブドウの酸味を生かしながら、芳醇な風味となめらかな舌ざわりが特長で、お茶菓子や贈答品として、70年以上にわたり市民に親しまれる。縦7センチ・横4センチ・厚さ4ミリほどのシート状の菓子であることから、商品に付属のようじを使い、一口サイズに切り分けながら食べることが多い。
秋田でお茶菓子の定番として親しまれる「さなづら」(プラスチック製だったつまようじは、リニューアルに木製に変更)
秋田県内や隣県に自生するほか、栽培もされる山ブドウ
子どもの頃、「さなづら」に絵を描いて、切り抜きながら食べたことがあるという秋田県民は少なくない。「ならば、若い皆さんに『さなづら』の魅力を知っていただくきっかけに」と、「さなづらアート」と題したワークショップを企画し、秋田市内で開催した。
親子連れや大学生ら市民25人が参加して開かれた「さなづらアート」ワークショップ
元パティシエのグラフィックデザイナーが制作した動画などを参考にしながら、参加者は、思い思いのカタチに「さなづら」を切り取りながら、お茶と合わせて山ブドウの芳醇な風味を楽しんだ。
特別に用意した大判の「さなづら」を使い、家族や友人同士で会話を楽しみながら「さなづらアート」にチャレンジする参加者
市民がワークショップで作った「さなづらアート」作品の一部(下段3点は、菓子舗 榮太楼スタッフの作)
秋田の銘菓「さなづら」の歴史やエピソードを紹介する小国輝也社長
天然の酸の効果により常温で40日ほど日持ちすることなどから、秋田観光の土産品として人気も高く、近年、円形に模る「さなづら紫滴(しづく)」やキューブ状の「つまんで さなづら」、ドーム状の「さなづらゼリー」、なめらかな舌触りが特徴の「さなづら葛ようかん」、ジュレ状の「さなづらコンフィチュール」などのバリエーションを展開する。
ゼリーやコンフィチュールなどバリエーションを増やす秋田の銘菓「さなづら」
40日ほど日持ちすることから、秋田土産としての人気が高い「さなづら」。50年ぶりにパッケージもリニューアル
今春、50年ぶりのリニューアルを果たした「さなづら」。豊かな果実味と甘酸っぱく濃厚な風味を生かして、トーストやドリンクにトッピングしたり、クラッカーやチョコレートでサンドしてオリジナルスイーツを作ったりするほか、ローストビーフなどの牛肉料理やサラダに使うジュレとしての楽しみ方などを提案する。
山ブドウの酸味と濃厚な風味がトーストやドリンクのトッピングに合う「さなづら」
チョコレートやクラッカーで秋田の銘菓「さなづら」をサンドして作るオリジナルスイーツ
肉料理やサラダと相性がいい山ブドウが原料の「さなづら」
小国社長は「長くご愛顧いただいているお客さまの声を聞きながら、時代に合わせてリニューアルした当社の看板商品。秋田の銘菓として、秋田に観光で来られた皆さまや、夏休みに帰省する皆さまのお土産品にお薦めしたい。これからの季節は、冷やして召し上がっていただくと、さわやかな涼を旅情と共に楽しんでいただけるのでは」と利用を呼びかける。
菓子舗 榮太楼の小国輝也社長