「地産地消を進める会」(秋田市下新城、TEL 018-853-9021)は10月27日・28日、羊毛活用の勉強会「羊の学校・成果発表会」をアートスペース・ココラボラトリー(大町3、TEL 018-866-1559)で開催している。
「衣の地産地消」を考えようと、同会が昨年から月1回のペースで開いた「羊の学校」。「食の地産地消と異なり、化学繊維や輸入衣料に頼る現代の日本では、『衣の地産地消』はリアリティーはないが、かつての日本では確かに自給していた」(同会代表の谷口吉光さん)ことから、「衣の地産地消」の研究対象を検討。戦後、物資不足を補うために「肉・皮・毛」など多目的に利用できる家畜として羊の飼育を国が推奨していたことなどから、羊毛の利用に着目した。
勉強会には延べ7人の生徒が参加し、原毛の「刈り」「洗い」「梳(すき)き」「紡(つむ)ぎ」「染め」などの工程から、毛糸やセーターなど「羊毛作品づくり」までを、計11頭の羊(サフォーク種)を使って勉強した。
原毛や毛糸、羊毛製品のほか、原毛から衣料用の毛糸に仕上げるまでに使用する器具類、2年間の研究成果を写真や文章で記載したパネル展示などを行う「成果発表会」。「わたしたちの文化には、手仕事の伝統が生きていることを実感した。特に来場した女性の反応からは、手の中に『技の記憶』が生きていることを感じる」と谷口さん。
秋田県内でもかつては3万4,000頭もの羊が飼育されていたが、現在は藤里町の牧場で「ジンギスカン」の食肉用に飼育される20~30頭ほど。谷口さんは「完全な自給自足は困難で苦しい生活だが、自給そのものは本来、豊かな暮らし方なはず。自給的な生活文化の豊かさを伝えていきたい」と話す。
「1頭の羊からセーター2~3着分の羊毛が取れる。家族揃いのセーターを作ることを提案する『羊のオーナー制度』などを検討しながら、利用の可能性を探っていきたい」とも。
発表会の開催時間は、27日=10時~20時、28日=10時~15時。入場無料。