「プロレス」がテーマの高校生向け芸術・文化教室が8月25日、新屋高校(秋田市豊岩)体育館で開かれた。
生徒に多様な価値観や文化を伝える場を設けることなどを目的に、同校が年2回開く芸術・文化教室。これまでに演劇の鑑賞などが行われてきたが、生徒の要望が多かった「プロレス」を題材に初めて企画した。同校の体育館にリングを特設して行われる教室に協力したのは、プロレス団体「みちのくプロレス」(岩手県)。
午前と午後に分けて行われた教室で、同団体の代表を務めるグレートサスケ選手らが、同校の生徒約480人に「授業」を行った。選手からルールや応援の作法などの説明を受けた野球部員ら16人が、腕立て伏せやスクワットなどの基礎トレーニングに加え、「空中技」などのために三半規管を鍛える前転や後転、リングのロープを試合に生かす「ロープワーク」などを体験した。
生徒の9割が「プロレス観戦は初めて」という、選手にとっては「アウェー」の会場ながら、羽後町出身の郡司歩選手のシングルマッチと、グレートサスケ選手らが出場する3対3のタッグマッチの2試合を開催。選手らはリング上で多彩なプロレス技を披露した。大技が繰り出されると、生徒らは大きな歓声を上げたり、ダウンした選手に熱のこもった手拍子を送って応援したりするなどしてプロレスを楽しんだ。
生徒から教室終了後にとったアンケートの満足度は、99%超。「すごいと思わせるパフォーマンスの数々」「暑い中で元気をもらえた」「レスラーに個性があって魅力的」「さまざまなことを学ぶことができた。自分の世界を広げていきたい」「また観たい」などの感想が寄せられた。
教室を担当する同校教諭の神居正暢さんは「コロナ禍の校内行事は声を発しないことなどが求められたため、声を自然に発する経験に乏しい生徒も少なくない」とし、「プロレスの観戦を通じて、素直に歓声を上げたり、声援を送ったりするリアクションができたようだ。会場が一体になることの喜びを体験できたのでは」と教室を振り返る。