能代市出身の美術家・大越円香さんの作品が、秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)の卒業生の作品としては初めて、若手アーティストの発掘・育成が目的の現代美術展「アートアワードトーキョー」(東京都千代田区)の一次選考を通過した。
東京都千代田区のギャラリーに展示される大越円香さんの作品「もちゆくもの」
若手美術家の登竜門として知られる現代美術展。全国の美術・芸術大学や大学院の卒業修了制作展の出展作品から、大学教授や美術館の学芸員らが優秀作品をノミネートし、都内で開く展覧会や審査会などを通じて最優秀賞を決める。
今年は、東京藝術大学や武蔵野美術大学など18校の卒業修了制作展の出展作品からノミネートされた125作品のうち、25作品が一次審査を通過した。
同大学からは初めて、3作品がノミネート。うち、ビジュアルアーツ科を3月に卒業した大越円香さんの作品「もちゆくもの」が、見事、一次審査を通過した。
出身地の能代市内をスマートフォンで撮影した写真を、高さ1メートル、幅6メートルのキャンバスに印刷し、漂白剤で加工するなどして、地元で進む少子高齢化やメディアの発展の裏で失われる人間らしさなどの社会問題を表現した。
「私の作品が選ばれたことに驚いた。愛情を持って指導いただいた大学の先生に感謝している」と大越さん。
大学で大越さんを担当した複合芸術研究科長の小田英之さんは「大越さんは、在学中から展覧会に応募したり、卒業制作展の委員長を務めたりするなどした努力家。作家としてのスタートラインに立てたのでは」とたたえる。「短大から4年制になって8年という浅い歴史の本学だが、全国で評価される卒業生が現れてきたことが誇らしい」とも。
一次選考を通過した25作品は、9月10日から行幸地下ギャラリー(東京都千代田区)に展示後、専門家の審査やインターネット投票などを通じて最優秀作品などを決める。
展示時間は11時~21時。9月25日まで。