美郷町在住のグラフィックデザイナー・澁谷和之さんの個展が現在、川反中央ビル(秋田市大町3)で開かれている。
澁谷さんが立ち上げた伝統工芸風の紙粘土人形「百目木(どめき)人形」
澁谷さんが同町にデザイン事務所を構えて10周年を迎えたことを記念し、「秋田デ、~秋田で、デザインするということ」と銘打ち企画した。アートスペースやカフェ、Tシャツ店などが入る同ビルの地階から3階まで、通路や階段を含めて全館を展示スペースとして使う。
地域活性化イベントや観光PR向けのポスター、酒蔵や菓子店などのパッケージ、制作に携わったフリー誌、イラスト作品、紙粘土作品など、澁谷さんが地元で手掛けた数百点に及ぶ作品を、制作背景や過程などのエピソードを記載したパネルと合わせて展示する。
10年を振り返ってまとめた書籍「秋田デ、」(1,800円)やポストカード(150円~)、澁谷さんが立ち上げた伝統工芸風の紙粘土人形「百目木(どめき)人形」(1,000円~)などを展示販売する。
同町で農業を営んでいた父が他界したことを機に、大学卒業後6年ほど勤めていた都内の広告代理店を退社し、2009年に帰郷した澁谷さん。家業を継ぐ傍ら、同年にデザイン事務所を立ち上げた。
「母と始めた農作業が、秋田で手掛けた最初のデザイン」と話す澁谷さん。「農業もデザインも現場を知ることが原点。デザインデータを入稿して終わるのではなく、印刷現場に足を運ぶことの大切さを伝えたい」と、かつて印刷会社が入っていた同ビル地下スペースに展示する作品には、自身の10年を振り返りながら若いデザイナーへ向けたメッセージを込めた。
近年、制作業務が忙しくなったことから離れていた農作業も「原点に立ち返りたい」と今期から再開した。
「地域への愛だけで続けてきた10年。現場を楽しみながら、これからも秋田でデザインに携わっていくことができれば」と話す。
営業時間は10時~19時(最終日は17時まで)。入場無料。12月8日まで。