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インタビュー2008-10-01

「妄想」で秋田を楽しむ~秋田おそがけ新聞・鈴木めた朗さん

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無明舎出版(秋田市広面)は9月、同社初の「ブログ本」を出版した。「タイトルに地域名が付いた書籍が売れない中でブログには可能性もある」と話す同社・安倍社長が試金石に選んだのは、秋田県美郷町の鈴木めた朗さんが独自の視点で秋田情報を扱うブログ「秋田おそがけ新聞」。秋田経済新聞では9月27日、約50人が参加し、秋田ニューシティー(大町4)で行われた出版記念パーティーで、自称「妄想家」の鈴木さんに公開インタビューを行った。(以下、敬称略)

■自分ができることは「妄想」-4つの経営資源

「秋田おそがけ新聞」主筆の鈴木めた朗さん(秋田経済新聞)-出版おめでとうございます

鈴木「ありがとうございます。出版までの作業には苦労もありましたが、無明舎の安倍社長を始め、たくさんの方の協力で出版することができました。こうして皆さんにお祝いしていただいて本当に感謝しています」

-ブログを始めようと思ったきっかけについて教えてください

鈴木「最初は週刊メールマガジンを作ろうと1日1本の記事を書いていました。ちょうど、それまで勤めていた会社を辞めようか悩んでいた時期で、自分で事業を立ち上げたいとの思いがありました。そのころ、メルマガを毎日書いて160万円稼ぐ人がいたんですよ。名古屋の経営コンサルタントの人なんですが、メルマガを経営者向けに発行していました。これは新しい作家のスタイルだと思いました。それまでの作家といえば、出版社に原稿を持っていくという形しかなかったのが、ネットを使えば広告収入でそういうこともできるんだと」

-なるほど

鈴木「私ができることは、前職がシステムエンジニアだったことからプログラムを書くこと、文章を書くことが好きだったこと、営業は頑張ればできるだろうということ、さらには妄想することが好きだったこと。この4つを使って事業を始められないかと考えていました。そこで、とりあえずできそうだったのがメルマガかブログでした」

-「秋田おそがけ新聞」はコンセプトがはっきりしてますね

9月に出版されたブログ本「秋田おそがけ新聞」(秋田経済新聞)鈴木「私は友人に聞いて知ったのですが、面白い事業を行う海外の会社を紹介する『百式』という有名なブログがあります。『百式』をヒントに私がやるとすればと考えて、地元の秋田ネタと得意の妄想から『秋田の無駄話を1日1本』というコンセプトができあがりました。タイトルの『秋田おそがけ新聞』というのは地元紙のパロディーですね」

-最近、更新が少ないようですが、忙しいですか?

鈴木「頭の中にネタはいっぱいあるんですが…。すいません」

-本には108話を収録していますね

鈴木「煩悩の数です(笑)」

-選挙ポスター風のカバーアートに意味はありますか?

鈴木「これは知人が『鈴木らしい何かユニークなものを』と考えてくれたものです。選挙に立候補するのではなどと誤解されそうですが、もちろんそれはありません(笑)。私は好きなことを自由にやりたくて会社も辞めたんだし、公人となってしまう政治家は、自分の生き方からは一番遠いところにあるものです」

-「無所属変人」というキャッチコピーも面白いですね

鈴木「これもいいものを考えてもらったと思います。これまでは『何とか株式会社の部長です』のように、所属を誇るようなことが多かったように思いますが、これからは何か尖ったものを持たないと生き残れなくなるのではないでしょうか。そういう意味でも『無所属変人』は私らしいコピーだと喜んでいます」

■頭が良くなると考えなくなる-バカになる努力

-出版にあたって過去記事を読み返したと思います。当時気が付かなかったことや心境の変化はありましたか?

出版記念パーティーで行われた秋田経済新聞公開インタビュー(秋田経済新聞)鈴木「記事を書いていくうちにだんだん自分が偉くなっていくんですね。記事を書く前と後では違う人間になる。知識がつくと知らず知らず偉そうになってしまう自分がいるんです。それは文章に表れるし、これは良くない傾向だと。だから、知ってることをいったん捨てて、心がけてバカになるように努力しています(笑)。息子が小学3年生なんですが、そんな小さな子どもでもわかるように書く。頭がよくなると考えなくなってしまうものだと思うのです」

-他にブログの運営で注意していることはありますか?

鈴木「ブログですから、気持ち的には思いついたことをパラっと書くんですが、きつい言い方になったり、差別的な表現になったりしないように気をつけています。本の方はあえて論文調に修正した部分もありますが、なるべく砕けた表現を使うようにしています。断定的な文章にならないよう」

■真似されること-竿燈のウインブルドン化

-今春から大学に通っているそうですね

サインを求める列席者にとまどいながら応じる鈴木さん(秋田経済新聞)鈴木「秋田大学の社会人学生として、MOT(技術経営)という分野を勉強しています。モノづくりやベンチャーのように事業を興すこと、マーケティングなどを教えてもらっています。本を読むだけでは足りない部分がどうしてもあるので、先生と直接お話しすることでそれを補っています」

-それらの勉強と鈴木さんのお考えから、今の秋田に足りないものは?

鈴木「私として次にやることは頭の中で決めていますが、そうですね…。私は地元紙と日本経済新聞を読んでいますが、秋田のニュースは県外に出ていかないなということをよく感じています。日経に掲載される県内ニュースは秋田の竿燈(かんとう)と大曲の花火競技会ぐらいでしょうか。お隣の岩手だとバカヤローと言いながら『ちゃぶ台』をひっくり返す地域おこしイベントも掲載されています。全国紙で『ちゃぶ台』が400年の歴史を持つ竿燈と同じ扱いですよ(笑)。目の付けどころで全国に出ていけるかどうかが決まる例だと思います。100万人の観光客が集まる境港市の『妖怪イベント』もそうですね。ちょっとした思い付きで全国から人が集まるようになる。そういう地域の活性化もあるんだと」

-具体的には何かありますか?

鈴木「大学のレポートとしても提出したのですが、『竿燈のオープン化』というのはどうでしょう。鳥取で竿燈に似た祭りが行われたとき、秋田では『竿燈を真似してけしからん』という感想を持つ人もいたようです。でも、私はどんどん真似してもらったらいいと思います。世界中から竿燈を持って秋田に集まってもらったらいいんです」

-竿燈をオープン化するんですか

鈴木「かつて、イギリスの金融政策で開放政策をとりましたが、ロンドンに世界中からプレーヤーが集まりました。国内の金融機関は倒産したところも多かったようですが、結果、イギリスの金融市場は活性化した。竿燈をオープン化、ウィンブルドン化することで秋田は『聖地』になります。年に1度、秋田は外国からの観光客でいっぱいになるでしょう」

-竿燈は国の重要無形文化財ですよ

鈴木「ブラジルからはサンバの竿燈も来るはずです」

■隣の真似はしないこと-「何これ?」が基準

-会場の皆さんから鈴木さんへ質問はありませんか?

新聞記者「この本を読者にどのように読んでもらいたいですか?」

鈴木「汚さないようにきれいに読んでもらえれば」

会場「(笑)」

ファンのほか、クリエーターや会社経営者など約50人が列席した出版記念パーティー(秋田経済新聞)鈴木「あと、『てにをは』のまずいところは読み飛ばしてくれると助かります(笑)。あとはそうですね…ばかばかしいことが注目されるんだということが伝えられればと思います。秋田では、『隣が道の駅を作ったから』とか『隣に温泉ができたから』とか、隣を真似した地域おこしが多いように思います。これからはかっこいいかどうかを基準にして『これは何?』ということをやっていければいいのではないかと思っています。そういうものであれば、多くのメディアにのって世界に届くのではないでしょうか。本に書いたというだけだと笑い話で終わってしまうけど、この本が実際にやってみるきっかけになればと思います」

-ありがとうございました

「秋田おそがけ新聞」主筆の鈴木めた朗さん。自称「妄想家」(秋田経済新聞)

【インタビューを終えて】

自身の「妄想」を天真爛漫に話す鈴木さん。「インプットがないとアウトプットは働かない」という鈴木さんの「妄想話」には、データに裏付けられた不可思議な説得力がある。鈴木さんの持つ「4つ」の経営資源を生かした、次なる「妄想の実現」に注目したい。

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