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ご当地キャラと秋田での制作活動~「なまはげ」作者2人に聞く

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いまや全国区となった秋田のご当地ヒーロー「超神ネイガー」、人気テレビ番組でゆるキャラ日本一に輝いた「スギッチ」など、この数年、秋田発の新キャラ・シーンが活気を帯びている。そこで、秋田の方言にこだわったオリジナルアニメの制作や秋田弁体操などの活動に取り組む「んだがらしゃ。」プロジェクトの大内和人さんと、ご自身の飼い猫ニャジロウから派生したキャラ「にゃまはげ仮面ニャッパゲ」の作者やなぎはらともみさんのお二人に、「ご当地キャラ」と秋田での制作活動について話をうかがった(以下、敬称略)。

秋田発の新キャラ「んだがらしゃ。」と「にゃまはげ仮面ニャッパゲ」

-市内各所やメディアでお二人の作品をよく見かけるようになりましたね

やなぎはら「ニャッパゲは、全国的に猫キャラや秋田キャラが盛り上がっていたこともあって、タイミングが良かったと思います。先日、在京テレビ局の取材が入ったとき、私と猫の『ニャジロウ』の入浴シーンを撮りたいって言われたんですが、私は恥ずかしいので、慣れない主人がニャジロウにひっかかれながら、頑張ってお風呂に入れたんですよ。でも、放送ではカットされたみたい(笑)」

大内「2006年にライブドアのネットアニメ・グランプリで銀賞をいただきましたが、僕はフラッシュアニメの制作のほか、音楽や体操などリアルの活動もしてきました。作品や活動の様子は、NHKや地元局のほか、ショッピングセンターの大型ディスプレーでも紹介してくださいました。知人に『ケーブルテレビで見た』って言われたこともあります。出てないんだけど(笑)」

やなぎはら「大内さん、スーパーで体操イベントをやってましたよね?」

大内「それ『まりもっこり』体操の人ですよ」

一同(笑)

-大内さんは「秋田の方言」、やなぎはらさんは「猫」が作品の出発点ですね

大内「僕は東京でデザインの仕事をしていたんですが、2005年に秋田に帰省してから、秋田弁普及活動と称してウェブコンテンツの『秋田弁検定』や子どもたちと踊る『秋田弁体操』など、秋田の方言を前面に出した活動をしてきました。そのプロセスにあって、秋田らしいキャラとして『なまはげ』をモチーフに制作したのが『んだがらしゃ。』のキャラたちです。方言の文章は読みにくいという意見もあるけど、新しい感覚のものとして楽しんでもらえているようです。そういう意味では、最初に言葉ありきのキャラですね。秋田弁も『あつたべん』と方言で表記します(笑)」

やなぎはら「私は、飼い猫『ニャジロウ』の存在があって、猫ファン向けの専門誌などに写真を掲載してもらっていました。全国的にも猫の『はっちゃん』や『猫鍋』が注目されていたところ、携帯向けコンテンツをやらないかとのお誘いをいただいて、昨年、イラスト版のニャジロウと『にゃまはげ仮面ニャッパゲ』が生まれました」

-やなぎはらさんの作品には方言が出てこないですね?

やなぎはら「私は青森出身なので、いまいち秋田弁に詳しくないんですよ。方言を使うと津軽弁になってしまう(笑)。ニャジロウは、秋田に限らず全国の女子高生やOLの皆さんにかわいがってもらいたいキャラなので、秋田弁はそれほど意識しないですね。でも、ニャッパゲのストーリーには、秋田の県魚『ハタハタ』や、なまはげの叫び声『泣く子はいねがぁ』から取った悪役の『にゃぐご』は登場しますよ。大内さんの作品は、キャラクター設定がしっかりしていて素晴らしいですよね」

大内「僕は、市内のペットショップに置いてあったポストカードでニャジロウを初めて見たんですが、やられたと思いましたよ。これまでずっと絵を描いてきて、かわいいキャラを作ろうと頑張ってるんだけど、ニャジロウを見て『かわいい!ちくしょー!』って思った(笑)。ニャッパゲを見たときは『やべー、またなまはげ出てきた』って思ったし(笑)。なまはげを見ると反応してしまうんですよ。ニャッパゲは絶妙ですね。全国的に受け入れられるんじゃないですか?」

やなぎはら「渋谷とかでは売れないと思う(笑)。本当は大内さんのようなファッション性のあるキャラを描きたいと思ってるんですよ。ニャッパゲを最初に出した時は『超神ネイガーだ』って言われたこともあります(笑)。ニャジロウは、股の開きを直線で横に長く描いた、間(ま)が伸びた感じの『へたれ』キャラ。この前、ラジオに出たとき言われたんですよ。『誰にでも描けそう絵だな』って(笑)。大内さんの作品のようなおしゃれな感じの『なまはげ』って、これまではなかったですね。Tシャツのデザインにも合いそう」

大内「僕のキャラはアメリカのカートゥーンアニメに影響を受けていると思います。アメリカの雰囲気がごりっと出ている『HI!HI!PUFFY』や『パワーパフガールズ』が好きで、日本ではあまり見られないデザインや見せ方に魅力を感じているんですよ」

秋田での制作活動-夢は「しょこたん」と「ビックリマン」

-好きなご当地キャラや作家はいますか?

大内「秋田のご当地キャラは、かなりチェックしてますよ。『超神ネイガー』や『スギッチ』はもちろん、お土産向けお菓子に使われているなまはげキャラも必ずチェックします。これは趣味ですね(笑)。キャラを通じて作者の人生ストーリーなんかがのぞき見られるような気がするので楽しいですよ。県外の作品では、『ひこにゃん』と東国原宮崎県知事のマスコットキャラ。ご当地キャラがどこまでいけるのかという部分で注目しています」

やなぎはら「私は水木しげるさんのファン。妖怪が好きなんです(笑)。だから、『秋田のなまはげ』というよりも、水木しげるさんの妖怪大辞典に出てくる『妖怪のなまはげ』が印象的です。子どものころ、『なまはげ』にサンタクロースの格好をさせたイラストを描いて、友だちに送ったりしてましたよ(笑)。『にゃまはげ仮面』も、私が出身地の青森で活動していたら『ねぶた仮面』だったかもしれないし、岩手にいたら『座敷童(ざしきわらし)仮面』だったかもしれない(笑)。気になるご当地キャラは、ネットで見つけた土佐の『カツオ武士』。媚(こ)びないリアルなカツオの絵がたまりません。見た瞬間、『カツオ食べたい!』って食欲もわきました」

-今後の作品展開や活動予定を教えてください

やなぎはら「ニャッパゲは先月から、ソニー・デジタルエンタテインメントで携帯向け『デジタル絵本』を配信していますが、今月は『デコメ』の配信も始まりました。あと、秋田のお土産物屋さんで携帯ストラップやチョコクランチが発売になりました。今後は、デジタル絵本とは違う形の映像作品も作って、うちのニャジロウを全国の皆さんに見てもらいたいな。テーマソングを中川翔子さんに歌ってもらうのが夢です」

大内「メジャーですね。すごいな。僕は外から声がかからないから、音楽もDVDも何でも自分で作っちゃう(笑)。最近、デザイン的に好きな『ビックリマンチョコ』のシールを自作したんだけど(笑)、実際にそんな活動の広がりもあったらいいですね。テーマソングならローリー寺西さんですね。今後は、原点に戻って、フラッシュアニメ作品やインターネットで楽しめるコンテンツを充実させたい。4月1日からライブドアで投票が始まるネットアニメコンテストに秋田弁ナマハゲアニメの新作を出品します。『やわらか戦車』で有名なラレコさんの作品群もそうですが、東京から地元の島根に帰って活動しているフラッシュアニメ集団『蛙男商会』さんには、僕が秋田で活動する勇気や励みをもらっています。『菅井君と家族石』という作品は、黒人家族のストーリーなのに舞台は島根県(笑)。東京で作品が認められていて、生活も安定しているのに、地元に帰ってしまう。それでも、一生懸命その道を突き進めば、きっとワンダーランドみたいなところにたどり着く。夢がありますよね」

-ありがとうございました。

【取材を終えて】
秋田市で制作活動を続けながら、全国への作品展開に目を向ける大内さんとやなぎはらさん。秋田の「なまはげ」をモチーフとしつつ、「秋田弁」や「愛猫」をテーマに「自分が好きなことを楽しんでやることが一番」と口をそろえるお二人の今後の作品に注目したい。