スペイン料理店「グランビア」(秋田市山王2、TEL 018-863-5180)を経営する金子裕二さんが製造販売する「長期熟成型生ハム」の生産日本一へ向けた取り組みが本格化している。
1982(昭和57)年から秋田市内でスペイン料理店を経営する傍ら、「生ハムの製造に重要な気候などの条件が秋田とスペインは似ている」とスペインの長期熟成型生ハム「ハモン・セラーノ」の国内での製法を研究してきた金子さん。
県内産豚肉を使うことや防腐剤などの添加物を加えないなどのこだわりで作られた金子さんの生ハムは高い評価を受け、現在、全国のレストランなど約80店舗に供給するほか、2005年には直営の「バルグランビア」(東京都港区)、2008年には「セルベセリアグランビア」(同)もオープンした。
12月中旬、これまで大仙市で運営してきた「生ハム工房」は研究施設としての機能も持たせて仙北市田沢湖に移転オープンするほか、生産体制の増強を図るため知人と新設した工場(大館市)も稼働する。現在、長期熟成型生ハムの国内流通量が年間21トン程度のところ、3年後には70トン(約1万本)の「国産生ハム日本一」の生産体制を目指す。
「国内では主にドイツの製法を取り入れてハムやソーセージが作られてきた経緯から、生ハム文化が育たなかった」と、10年ほど前から毎年一般を対象に「生ハム塾」も開講し、これまでに800人以上が参加するなど、生ハム文化の普及にも取り組む金子さん。「スローフード的な意味合いからも高い品質にこだわりたい。長期熟成型生ハムのおいしさを多くの皆さんに知ってもらえれば」と意気込む。