JA全農あきた(秋田市八橋南2)が今春、試験的に作付した多収米「秋田63号」が先週収穫され、現在、収量調査が行われている。収量は平均750~800キロの見込み。
2002年に品種登録された「秋田63号」は、食味が「あきたこまち」などよりも劣ることから、これまで栽培されず「幻の米」となっていたが、飼料価格の高騰などを受け、多収の性質から白羽の矢が立った。
「秋田63号」は、10アール当たりの収量が最大約1トン、平均でも「あきたこまち」の約1.5倍が収穫できる超多収米。米の重さを千粒単位で計る千粒重(せんりゅうじゅう)でも、「あきたこまち」の22.4グラムに対し30.1グラムと粒が大きいことも特徴。少ない肥料で生育し、稲熱(いもち)病にも強い。
営農支援部の煙山さんは「特殊な栽培方法で1トンを超える品種もあるが、『秋田63号』は誰が作っても多収が可能。収量調査の現場でも平均750~800キロという多収性が確認できた」とし、「米の粒が大きいため当初懸念された、通常のコンバインでの刈り取りや乾燥も問題なく行えた。今後、一般の生産者も新たな設備投資をすることなく栽培できる」と話す。
今春、「おいしくない米」として話題になった「秋田63号」だが、煙山さんは「飼料用というわけではなく、あくまで食用。あきたこまちとの比較で食味が劣るとしても、おいしくないということではない」とし、「多収・低コストの特徴から、飼料用としてだけではなく、パンや菓子の原料の米粉としての可能性も検討していきたい」と期待を寄せる。
今後も調査を続け、2010年の一般作付けを目指す。