太陽電池と燃料電池を搭載するハイブリッド自動車「JonaSun(ジョナサン)」が3月7日、秋田県庁第二庁舎1階ロビーに展示された。
秋田市在住のヘアメークアーティスト・山本ヒサヒロさんらが中心となって結成した「チーム・ジョナサン」(秋田市千秋明徳町、TEL 018-831-0009)が製造した同車は、全長4メートル、全幅1.5メートル、全高1メートル、重量約180キログラム(燃料搭載時)で1人乗り。
全長約30キロメートルのソーラーカー・レース専用コース「大潟村ソーラースポーツライン」(秋田県大潟村)で開催する「ワールド・ソーラーカー・ラリー(WSC)」の仕掛け人で、2001年にはウラジオストクからサンクトペテルブルクまでユーラシア大陸をソーラーカーで横断した実績も持つ山本さんが「ハイブリッドカー」の製作に転身したきっかけは、2003年、同レースに「燃料電池部門」が新設されたこと。
「それまで培ってきたソーラーカーの技術に燃料電池車を融合させたものがジョナサン」(山本さん)で、「世界で誰もやっていなかったから、挑戦する価値があると思った。水素と酸素の反応によるクリーンエネルギーの燃料電池と太陽電池とのハイブリッドは、ソーラーパネルが使えない天気の悪い日でも走ることができる利点もある」(同)と話す。
1994年の初代から玉川大学(東京都町田市)などと協働で改良を重ね、5代目となる同車は、「一般的なヘアドライヤーの消費電力1,200ワットより小さい約900ワットの消費電力ながら時速80キロ以上で巡航できる」(山本さん)性能を持つ。昨年は、山本さん自らがハンドルを握ってオーストラリア大陸3,000キロを縦断するレースにも参戦し、見事完走した。
オーストラリア大陸縦断の際には「この分野で世界をリードしている車なので、安全面にも留意した」(同)という同車には、米企業からアメリカ横断ツアーなどのオファーもあるが、「これまでスタッフがボランティアでやってきたことだから、プロジェクトへの愛着が大きい」(同チーム・スタッフ)ことから、研究・開発は、自動車メーカーや大手スポンサーには頼らない方針。開発費は、燃料となる「水素」やタイヤなどを協賛企業からの提供を受ける以外は、山本さんが経営する美容室「モードスタジオQ」(千秋明徳町2)の「お客さんによるカンパが中心」(同)だという。
軽量化のためシャーシは「カーボンコンポジット(CFRP)」製で、ボディーの一部には木材も使用。同車のデザインも手がける山本さんは「ハイテクな自動車だからこそナチュラルな素材として木材も使用したが、かつて、予算の都合でバルサ材を使っていたころの名残りでもある(笑)」と話す。
4月19日(12時~16時30分ごろ)には、遊学舎(上北手新巻、TEL 018-829-5805)での展示も予定する。
Team JonaSun(チーム・ジョナサン)秋田に導入予定の「ベロタクシー」、愛称を一般公募(秋田経済新聞)秋田に「ベロタクシー」初登場(秋田経済新聞)高校生がソーラーカーの魅力を講義(立川経済新聞)