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秋田で「人口減少×アート」展 現代アーティストがNHKとコラボで

秋田県内の廃校になった小中学校などで保管されていた約1600本の「トロフィー」を積み重ねた現代アート作品

秋田県内の廃校になった小中学校などで保管されていた約1600本の「トロフィー」を積み重ねた現代アート作品

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 地域課題を題材にした現代アート展「人口減少×アート」展が現在、「NHK秋田放送局」ロビー(秋田市東通仲町)で開かれている。

1600本の「トロフィー」を積み重ねた現代アート作品「喝采の記憶」

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 毎年1万人のペースで人口が減り続け、2040 年までに現在の約102万人から70万人まで減少する推計もあるなど、日本で最も速く人口減少が進む秋田県。「2040 70 万人社会と向き合う~秋田の未来を考える元年」と題し、同放送局が今春から特集番組やニュースで展開するキャンペーンの一環としてアート展を企画した。

 「社会の変化を捉えて問題を提示する『現代アート』の手法を使うことで、人口減少を『身体感覚』として視聴者に伝えられるのでは」との同放送局ディレクター山浦彬仁さんの問い掛けに、秋田市在住の現代アーティストで秋田公立美術大学教授の岩井成昭さんが応えた。

 県内を取材して回る中、少子化により2003年以降150校にも及ぶ廃校舎などに残された数千本の「トロフィー」を、「地域の記憶」と捉えた岩井さん。部活動などで使い、捨てられずに保管されていた約1600本のトロフィーを集めて高さ6メートルに積み重ねた作品「喝采の記憶」を制作した。

 併せて、少子化が進む県内で出産を控える女性14人に子どもへの思いなどをインタビュー。生まれ来る子どもの名前を女性が直筆した直径40センチほどの照明を内蔵する半透明の円盤を、「胎内」をイメージして回廊のようにディスプレーした作品「未来への命名」も制作。「喝采の記憶」と組み合わせ、照明を巧みに取り入れながら輝く地域の過去と未来を表した。

 「美術界にとってもマスメディアにとっても類を見ないコラボレーションでは」と山浦さん。「県内の高齢者の割合は40%を超え、高校生以下の子どもの数は現在の半分になると見込まれる中でも、地域社会を守り、地域に暮らし続けることはできるはず。そのための知恵を視聴者の皆さまと一緒に考えるきっかけにできれば」と話す。

 開場時間は9時~19時。入場無料。会期中無休 。2016年1月31日まで。

 12月4日、岩井さんの制作過程を追った特集番組を放送する予定。放送時間は19時30分~19時55分。

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