秋田のまちづくりをテーマとする講演会「バリアフリーデザイン海外研修」が6月16日、カフェバー「レッドハウス」(秋田市中通2、TEL 018-836-0588)で開講された。
ハーバード大学で建築学を学んだ後、MoMAニューヨーク近代美術館の増築部分の設計をはじめとする国内外における建築や都市設計の経歴をもつ秋田市在住の建築家・佐々木孝さんによる同講演会は、昨年より毎月最終土曜に開催され今回で9回目。
同日は「バリアフリーデザイン海外研修」と題し、ワシントンD.C.とニューヨークを対比しながら、それぞれにおける街の機能や区画の仕組みに関する検証や、公園のベンチ、ごみ箱、バス停、郵便ポストなどのストリートファニチャーに関する考察のほか、ユニバーサルデザインの「はしり」とされる「グッドグリップ社」の包丁等の柄(え)や「ハーマンミラー社」のアーロンチェアなどの事例を挙げながら、街と建築を中心にバリアフリーデザインに関する研修成果を講演した。
世界最大の博物館であるスミソニアン博物館(ワシントンD.C.)では「館内アクセスの専門家と建築家や空間デザイナーとの意見が一致しにくい」との同館担当者による苦労話を披露し、「アクセシビリティーが発達しているアメリカにおいてもまだまだ」との感想も。
現在、NPO法人「秋田バリアフリーネットワーク」を拠点として市民活動も行っている佐々木さんは、「90年代にはバリアフリーという言葉が流行したが、今はユニバーサルデザインが流行している。新しい言葉を否定するのではないが、実を伴わないまま言葉だけが流行することで、本質までも風化してしまうことは怖い」と話していた。
次回7月28日には、ボストンとケンブリッジでの研修を中心に講演する予定。