アジサイの苗木30株が6月3日、秋田市将軍野青山町の保育園前の歩道に植えられた。
アジサイが植えられたのは、保育園「キッズステーションしょうぐんの」(秋田市将軍野青山町)前の歩道、約160メートル。保育園の職員10人が、住民10人の協力を得ながら植え付け作業を行った。「苗木が花を付けるのは来年以降だが、2株ほどは今年のうちに咲きそう」と、作業に協力した市民。作業終了後、園児10人が、早速、水やり。植えられたばかりのアジサイの苗木を、もの珍しそうに見つめる園児の姿も見られた。
植え付けに協力したのは、2006(平成18)年から、アジサイを通したまちづくりに取り組む「あじさいクラブ」。「背の高い雑草や捨てられたゴミなどで荒れ放題だった」という、土崎港北・将軍野・飯島エリアを横切る横山金足線の歩道の状況を見かねた、飯島新町在住の門間幸子さんが、当時、道路を管轄していた秋田県に相談。2008(平成20)年から、草刈りやゴミ拾い、樹木桝(ます)へのアジサイの植え付けや手入れなどの作業を同会メンバーと共に始めた。現在、作業に当たる市民は約40人。1キロメートル以上にわたり植えられたアジサイは、一時期、1000本を超えた。捨てられるゴミの量は減った。
歩道の利用者からは「アジサイに守られて歩道を歩いている気持ちになる」「歩道に咲くアジサイを見て、優しい人が住む町だと感じたため、当地区への転居を決めた」などの声も寄せられたが、作業に当たる住民の高齢化などを理由に、アジサイを600本ほどに減らし、植え付ける距離の延長も断念した。
2012(平成24)年から秋田市が管轄する横山金足線。道路沿いで運営する同保育園の渡部信子園長が「保育園前の歩道にアジサイが植えられないことを残念に思っていること」を、3月、門間さんに問い合わせた。同会の事情を知った渡部園長が、保育園が手入れすることを提案したことなどから、植え付けが決まった。
「植え付けの作業は、地域の皆さんとのいい交流にもなった。歩道を散歩して育つ子どもたちが、咲くアジサイを見て地域に思いを寄せてくれる日が来るのでは」と渡部園長。門間さんは「かつては荒れ放題だった歩道で、子どもたちが最初に覚える花の名前がアジサイと聞いてうれしかった」と話す。「地域の皆さんが自由に使う歩道に咲くアジサイ。咲いた花は自由に切って構わないので、持ち帰って楽しんでもらえれば」とも。