JR秋田駅前で11月30日、秋田県内にある寺院の僧侶ら10人が「托鉢」を行った。
僧侶がまちなかで経文をとなえるなどし、コメや金銭の施しを受ける「托鉢」。真言宗智山派の寺院住職らが震災復興支援を目的に行った。
この日集まった寺院は、不動院(秋田市)、普傳寺(同)、金照寺(同)、喜福院(大仙市)、吉祥院(男鹿市)、高性寺(五城目町)、成就院(井川町)、常福院(八郎潟町)、龍泉寺(能代市)、長楽寺中(男鹿市)。
普傳寺で震災復興と托鉢行の無事を祈願後、秋田駅に来た一行は、駅前アーケードと駅改札周辺で、布施を行う通行人に読経で応えながら、16時から2時間ほど掛けて托鉢を行った。
常福院住職で奥羽教区智山青年会の久米達哉会長は「市井の人々の心に良きものが宿るよう祈念している。私たちの姿が、いまだ復興途上の被災地のことを風化させないための一助になれば」と話す。
唯一の尼僧として托鉢行に参加した龍泉寺住職の木村祥泉(しょうせん)さんは「托鉢中は口を聞くことは許されないが、施してくださる方の清らかな表情から、『足る』を知らない貧しさや『感謝』の心を持てる豊かさに気付かされる。寒空の下で行う托鉢を通じて、どなたかの気持ちを豊かにできるのだとすれば、ありがたいこと」と振り返った。