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秋田で地域考「ピクニック」発表会 美大の複合芸術プログラム

身体パフォーマンスを交えながら研究成果の発表を行う北海道大学大学院で文化人類学を研究する加賀田直子さん

身体パフォーマンスを交えながら研究成果の発表を行う北海道大学大学院で文化人類学を研究する加賀田直子さん

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 秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町)が取り組む地域考プログラム「AKIBI複合芸術ピクニック 秋田/沖縄」の成果発表会が1月15日、秋田市文化創造館(千秋明徳町)で開かれた。

秋田市の袋小路で行う「ピクニック」のガイドブック入りギターケース

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 地域の考察を通じてアートに携わる人材を育成することなどを目的に、同大学が毎年展開するプログラム。2021年9月から「秋田と沖縄」を題材に開いた今年度のプログラムには、公募で選ばれた東京や北海道、沖縄など7都道県に在住の社会人や大学生ら11人が参加し、さまざまな分野の専門家からオンライン講義を受けたり、ワークショップやディスカッションに参加したりしながら、「ピクニック」になぞらえて地域への考察を深めた。

 プログラムの成果物として「ピクニックのガイドブック」の制作と発表のため、秋田市に集まった受講生は6都道県の10人。1月8日から8日間滞在し、市内をリサーチして回ったり、同大学大学院教授や編集者、グラフィックデザイナーらのアドバイスを受けたりしたほか、雪深い北秋田市に一泊して当地の文化に触れる体験などを加えて成果物の制作に取り組んだ。

 「秋田市内の袋小路」「沖縄の海中道路」「獅子舞」「書道」「日常と非日常の境」など、受講生がそれぞれの専門分野や関心から選んだテーマに、アートの視点を加えて制作したガイドブックと成果物の発表スタイルは、いずれも独創的。同施設とオンラインで行われた発表当日、受講生は、アーティストで複合芸術が専門の同大学院の岩井成昭教授や、建築家で同大学院の岸健太教授、映画監督で景観デザインが専門の同大学・石山友美准教授、編集者の竹内厚さんから講評を受けたり、意見を交換したりしながら成果物を検証した。

 陶芸家の坂本森海(かい)さんは、陶芸に使う土が地域を移動することや焼き物の造形に表れる「景色」をピクニックになぞらえながら考察してガイドブックを制作。「袋小路」に着眼した同大学3年で景観デザインを専攻する伊東陽菜さんは、秋田市内の地図などを使い、ピクニックとガイドブックをギターケースで表現した。「森」をテーマに身体表現を交えながら成果物を発表した、北海道大学大学院で文化人類学を研究する加賀田直子さんは「大学院の研究や論文で使う思考とは異なる作業のため難しく感じる部分もあったが、考え続ける有意義な時間を過ごすことができた」と振り返る。

 プログラムの企画と運営を統括する岩井教授は「コロナ禍により、昨年度から今年度前半にかけてオンラインを多用したが、今回のプログラムでは対面して初めて分かることも多くバーチャルの限界も分かった。受講生ごとの『ピクニック』にもバーチャルと対面することの差異が表れていたのでは」と約4カ月かけて取り組んだプログラムの成果を総括する。

 プログラムの成果記録は3月、冊子などにまとめて公表予定。

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