秋田市在住の郷土史研究家とイラストレーターが7月8日、秋田県内の人形道祖神を題材にした冊子「村を守る不思議な神様~あきた人形道祖神めぐり」を出版する。
郷土史研究家で工芸ギャラリー「小松クラフトスペース」(秋田市中通4)を経営する小松和彦さんと、神奈川県出身で市内在住のイラストレーター・宮原葉月さんの共著。
わらや木で作られ、厄除けなどを目的に村境や道ばたに祭られる「人形道祖神」。民間信仰の対象として秋田県内に多く残り、地域ごとに意味合いや造形が異なる道祖神の魅力を伝えようと1月、全国的にも珍しい「人形道祖神本」の出版を企画。道祖神を祭る地域行事に合わせて3月から県内を回るなど取材を重ね、出版にこぎ着けた。
現地取材や文献資料のほか、道祖神をカリスマパンクミュージシャン「シド・ヴィシャス」や往年の人気プロレスラー「ブルーザー・ブロディ」になぞらえるなど、小松さんが受けたインスピレーションを盛り込みながら考察・紹介した文章と、宮原さんが「道祖神を大胆に解釈」して華やかな色合いで描いたイラストで構成する。道祖神が祭られる地域の地図や地域資源を題材にしたコラムも収録する。収録する道祖神は以下の通り。
「二ツ屋のドジンサマ」(大館市)、「小掛のショウキサマ」(能代市二ツ井)、「桧木内のニオウサマ」(仙北市西木)、「田代沢のカシマサマ」(横手市山内)、「末広町のカシマサマ」(湯沢市岩崎)、「保呂羽山周辺の人形道祖神」(大仙市南外、横手市大森)、「斉内のオニョサマ」(大仙市太田)、「藤倉のニンギョウサン」(湯沢市皆瀬)、「鶴形のショウキサマ」(能代市)。
小松さんと宮原さんは「高さ4.5メートルに及ぶ山内村のカシマサマや1メートルに満たないものまで、県内に100カ所以上の道祖神が残る。現代の視点からリアリティーを持ったものとして道祖神を捉えた。アートとしての魅力や現代に生きる民間信仰としての姿を伝えられれば」と話す。
同店で7月8日、出版記念トークイベントを開くほか、9日から冊子に収録したイラストの原画展も開く。イラストをプリントした「ポストカード」(150円)や「Tシャツ」(5,000円)も販売する。
A5判78ページで、価格は1,300円。初版1000部発行。問い合わせは、小松クラフトスペース(TEL 018-837-1118)まで。