「あきた郷土作物研究会」が10月27日、出版物の記者発表会を秋田県庁で行った。
園芸育種学や果樹園芸学が専門の秋田県立大学教授の櫻井健二さんが会長を務める同研究会。農作物の研究者や農業従事者、飲食店主ら約130人の会員が2013(平成25)年から、郷土作物の発掘や種の保存活動、食品関連産業の活性化活動などに取り組む。
研究会内に出版会を立ち上げ、これまでの研究成果をまとめた書籍「あきた伝統野菜 種と人の物語」を8月1日に出版。同大名誉教授の吉澤結子さんら同研究会のメンバーが、栽培地や文献などの調査、実験など学術的な観点から検証を加え、県内で伝統的に栽培される「沼山大根」「三関セリ」「てんこ小豆」などの伝統野菜39品目を紹介する。
記者発表会で、櫻井さんは「生きた文化財ともいわれる郷土作物は秋田の貴重な地域資源。高齢化や担い手不足などにより栽培が途絶えないよう、伝統野菜の栽培を引き継ぐ生産者を見つけることにつなげられれば」と郷土作物の価値を強調した。
由利本荘市で「ガーデニングカフェ花草」を経営する副会長の吉尾聖子さんは「野菜を取り巻く環境や携わる人々のエピソードを物語の形式でまとめた。読み物としても楽しめる内容。郷土の野菜に愛着を持ってもらうきっかけにできれば」と話す。
書籍の仕様はフルカラーB5判変形148ページ。価格は3,000円。秋田市文化創造館(千秋明徳町)や秋田県庁地下売店のほか、カフェや飲食店などで販売する。