提供:ホップドッグブルーイング合同会社 制作:秋田経済新聞
クラフトビールとハードサイダーの醸造所「HOPDOG BREWING(ホップドッグブルーイング)」。2023年、銭湯として使われていた秋田市内の建物をリノベーションした設備や、クラウドファンディングで700万円を超える資金を調達したことなどで話題になりました。秋田県産の原料にこだわりながら、独立開業3年目、約20年にわたりクラフトビールの醸造に携わる同社社長の長谷川信さんに話を聞きました。
銭湯をリノベーションした「HOPDOG BREWING」醸造所
―「ホップドッグブルーイング」について教えてください。
秋田に素晴らしい食材がたくさんあることは、地元の皆さんであれば知っています。私も仕事柄、食材の生産者や飲食店との多くの交流を通じて良く知っています。ところが、秋田県外へ一歩出ると、思いのほか、秋田のことは知られていません。このことを、とても残念に思っていました。そこで、「秋田県産の良質な素材を使うこと」をコンセプトに「FARM TO YOU」を掲げ、立ち上げたのが当醸造所です。クラフトビールやハードサイダーを通して、秋田の食の魅力を国内外の皆さんに伝えたいんです。
醸造所は、長年にわたり地域の皆さんに愛された秋田市南通の銭湯をリノベーションしたものです。銭湯は、人が触れ合う交流の場として使われてきました。改装に当たって、形は変わっても人と人のコミュニケーション、新たな出会いを発信する場でありたいとの思いから、あえて銭湯の看板を残しています。貯蔵量は3000リットル、約1万本の缶ビール製造能力を備えています。常にフレッシュなクラフトビールやハードサイダーを供給できるよう努めています。
「秋田産素材の魅力を伝えたい」と話す長谷川信さん
ビール醸造の勉強でドイツへ赴いたときのことですが、現地の皆さんは「秋田」のことを知らなくても、「秋田犬」のことは知っていました。海外で「Akita(あきた)」と言えば「秋田犬」を意味することが多いんですね。当社も、誠実で親しみやすい気質で世界から愛される秋田犬のように、秋田の誇りを背負いながら、丁寧で真っすぐなものづくりに取り組みたいと考えています。社名とロゴマーク、秋田犬のイラストをあしらった缶ビールのラベルに込めた当社の思いです。
「HOPDOG BREWING」ロゴマーク
秋田県産の原料を多く使う「HOPDOG BREWING」
―秋田県産の原料へのこだわりを教えてください。
クラフトビールの魅力である香りや苦みを生み出す原料で、「ビールの魂」とも呼ばれるホップ。秋田県横手市は、国内屈指のホップの産地です。国産ホップの4割ほどが秋田県で生産されています。その多くは大手ビール会社向けですが、当社が造る全てのクラフトビールには、横手産ホップを使っています。一株一株を丁寧に栽培し、最適なタイミングで収穫後、鮮度を保つためのプロセスを経て、私たちの醸造所に届けられます。ホップ栽培に携わる農家が情熱をかけて生産するホップからは、横手の自然そのものが感じられます。ビールの個性を決定づけるアロマとフレーバーを生み出すホップ。柑橘系のさわやかな香りに魅力がある横手産のホップは、ほかの産地のものでは得られない当地ならではのものです。
国産ホップの約4割を占める秋田県産ホップ
秋田県はリンゴの産地でもあります。もちろん、私たちは県産リンゴのおいしさを知っています。しかし、首都圏のスーパーなどには、青森県や長野県など大生産地の生産物ばかりが並ぶ実情があります。そのため、秋田県産のものは、高い品質を誇りながら、全国の皆さんに届ける機会に恵まれにくいのです。当社は「秋田県産リンゴの魅力を広く伝えたい」との思いから、果実酒の酒類製造免許を取得し、ハードサイダーも製造しています。ハードサイダーは、リンゴを主原料とする発泡性のアルコール飲料、フランスではシードルと呼ばれています。
当社のハードサイダーは、秋田県産、横手市や鹿角市で収穫されるリンゴを原料に造っています。時期によりブレンドは変わりますが、使う品種は「ふじ」「紅玉」「紅の夢」。フルーティーでさわやかな味わいで、軽やかな飲み心地から多くの皆さんに楽しんでいただいています。
ハードサイダーの原料に使われる秋田県産リンゴ
秋田産あきたこまちが原料のクラフトビール
―秋田米を使う商品も製造していますね
「おいしいビールとはどのようなものなのか」ついては、いつも考えています。そして、醸造所や銘柄ごとに強い特徴のあるクラフトビールは、それ自体の風味を楽しんでもらうことも多いのですが、料理と合わせて楽しんでもらいたいとの思いもあります。
この点、原料にコメを使うと、スッキリとしたボディーのビールを造ることができるため、料理にもよく合います。秋田は言わずと知れた米どころ。2024年には、秋田県が持つ「秋田美桜酵母」と秋田米の新銘柄を使った「さくらサキホコレ」を季節限定で発売。今年は、「秋田を表すビールを」との思いを込めて、「FARM TO YOU あきたこまちゴールデンエール」をレギュラー発売しました。素材には、秋田市の柴田農園で栽培される「あきたこまち」を使っています。このように、食事と合わせて楽しんでもらいやすいよう、県産米を素材に使う商品にも力を入れています。鍋料理などの和食、中でも塩味など淡泊な料理によく合うと思いますので、試していただきたいですね。
長谷川信さん(左)とホップを生産する横手市の小棚木裕也さん(右)
―製造や販売で心掛けていることを教えてください
クラフトビールやハードサイダーの醸造で心掛けているのは、情熱と信念を持って、地域の誇りとなるビールを造るということ。地域の農家の皆さんと素材づくりから手仕事にこだわり、自然の恵み、素材の力を最大限に生かすことです。ホップやコメ、リンゴなどの果実…秋田には、真摯に農産物の生産に取り組む多くの生産者がいます。雪と太陽に育まれた自然の中で育まれた素材を大切に使わせてもらい、丁寧に醸造した商品を全国の皆さんへ届けることが、私たちの役割と考えています。「FARM TO YOU」と銘打ちシリーズ展開している商品群は、このような思いを込めたものです。
これまでに、県産のモモやナシなど、さまざまな原料を使うハードサイダーとクラフトビールを20銘柄ほど製造してきましたが、全ての商品に秋田県産の素材を使っています。当社商品を通して、生産者の皆さんの情熱を伝えたいんです。
ギフトボックスも用意する「FARM TO YOU」シリーズ
醸造所の見学ツアーや試飲会、秋田市内外で開かれる年数回のビアフェスなどでも、クラフトビールやハードサイダーを楽しんでもらっています。初めてお会いする人、毎回のように足を運んでくれる人…当社商品と一緒に皆さんが交流する様子は、本当にうれしい光景です。私たちも元気をもらっています。
横手で育つホップの香りや苦み、秋田県産リンゴのさわやかで深い風味…一度、当社の商品を試してもらえれば、雪国で情熱を持って農業に取り組む生産者の思いまで感じてもらえると思います。好きな料理と合わせて、みんなで楽しく、一人でゆっくり、特別な人への贈り物に…クラフトビールやハードサイダーの楽しみ方はそれぞれと思います。これからも、お客さまと生産者の「架け橋」として、ビールの新しい可能性に挑みながら、秋田の情熱を詰め込んだ商品を提供していきたいです。
―ありがとうございました
