秋田県湯沢市と羽後町が舞台のライトノベル「湯沢物語」が6月上旬、秋田文化出版(秋田市山王7、TEL 018-864-3322)から出版された。
秋田の特産品をネット販売する「あい秋田地産グループ」(羽後町)の店長を務める傍ら、2005年から自身のブログに小説「湯沢物語」を書きつづってきた著者の安倍彩矢さん。小説家を志望していることを知人に伝えたところ、地元の出版社を紹介されたことをきっかけに出版が決まった。「ブログに掲載中の小説だが、出版にあたって半分以上書き直したので、書籍版はいわば『もう一つの湯沢物語』」(安倍さん)だという。
内容は、「主人公の魔女が真実の恋に気付くという精霊世界を舞台にしたストーリー」と、自身をモデルに「ネットショップで働く小説家志望の女性が自分の夢の実現へ向かって歩む姿を描写した現実世界のストーリー」の2つのストーリーが同時進行する「ファンタジック・ラブストーリー」。
人気イラストレーター西又葵さんが美少女キャラをデザインした米袋の発売など、サブカルチャーによる「まちおこし」で知られる羽後町在住の安倍さんは、クラシック調のメード服ファン。出版にあたって、挿し絵用イラストも自身で手掛けた。「ブログ読者の皆さんにも新鮮な印象で読んでいただけると思う。秋田らしいローカルの良さを感じてもらえれば」と安倍さん。
同社編集者の渡辺修さんは「ブログの小説が出版されるのは、秋田では珍しいケース。特に若い世代の皆さんに楽しんでいただけると思う。反響次第では続編も検討したい」と同書へ期待を寄せる。「ストーリーには秋田の名所も舞台として登場するので、地域振興の一助になれば」とも。
初版は1,000部を発行。A6判、296ページ。700円。