秋田市内のクラフトビール製造会社で醸造責任者を務めていた男性が、現在、新たな醸造所の開業準備を南通みその町で進めている。
開業準備を進めるのは、2008(平成20)年から約17年にわたり、あくら(秋田市大町1)の醸造責任者を務めた長谷川信さん。看板商品「秋田美人のビール」や「川反ラガー」、世界最大級のビール審査会で金賞を受賞した「なまはげIPA」などの醸造を手掛けてきたが、2022年7月、同事業の営業権がプロバスケットボールチームの運営社に移ったことを機に独立を決めた。
現在、同社で技術指導に携わりながら、新会社「HOPDOG BREWING(ホップドッグブルーイング)」を立ち上げて開業準備を進める。
醸造所として改装工事を進めるのは、2021年まで銭湯として使われていた南通みその町の建物。浴場として使われていたスペースに、250リットル4本、500リットル2本の醸造タンクを設け、「人がふれあうコミュニケーションの場だった銭湯を、豊かなビール文化へ向けて新たな出会いの発信拠点に」と、脱衣所は工場見学などに使えるスペースに、番台は事務スペースとして活用する。建物に取り付けられた「星の湯」の看板は、地域のシンボルとしてあえて残す。
横手市産のホップなど地元の原料を多く使うクラフトビールとハードサイダーをそれぞれ2種類、飲食店向けの樽製品として製造を予定する。
長谷川さんは「多くの皆さまに支えられながら得られた醸造の技術や経験。秋田の素材や風土を感じてもらえる製品を通じて恩返しができれば」と意気込みを見せる。
クラウドファンディングで資金を募るなどしながら改修工事などを進め、3月に醸造所を稼働し、5月の製品販売を目指す。