秋田県内の人形道祖神を扱う書籍「村を守る不思議な神様 永久保存版」(KADOKAWA)が9月15日、出版された。
「カシマサマ」「ドジンサマ」など、地域によってさまざまな名称で呼ばれる民間信仰の対象「人形道祖神」。地元住民がワラや木などを材料に毎年作り替えながら祭る風習は、県内の約150カ所の集落に残る。
書籍を出版したのは、人形道祖神の研究に取り組む秋田市在住の郷土研究家・小松和彦さんと、埼玉県在住のイラストレーター・宮原葉月さんの2人。2018(平成30)年と2019(平成31)年に出版した2冊の書籍を再編集し、人形道祖神と重要無形民俗文化財の行事のナマハゲや伝統的狩猟法を守る狩人・マタギ、郷土料理のきりたんぽなど、秋田県内に残る文化や風習と人形道祖神の関係など新たな考察を加え、100以上のイラストや4編の漫画を交えて解説する。
小松さんは「道祖神は全国各地に残るが、秋田のように人形道祖神が多く残る地域は珍しい。集落ごとに守られてきた貴重な文化遺産であり、魅力ある観光コンテンツとして秋田が誇ることができるもの」と話す。
宮原さんは「取材で集落に何度も足を運ぶうち、人形道祖神作りの技術や風習を守ってきた地元の人たちに共感した。歴史の記録と同時に、村を背負ってきた『すごいおじいちゃんたち』のことも知ってもらえたら」と話す。
A5判208ページで、価格は1,925円。