秋田県三種町の僧侶・英心さんの音楽活動が現在、注目を集めている。
三種町の僧侶が率いるバンド「英心 & The Meditationalies」
父親が住職を務める寺院の僧侶でミュージシャンの英心さん。全国的に檀家(だんか)の減少や後継者不足などから存続が危ぶまれる寺院が増える中、「寺には地域コミュニティーのための役割があるはず」と、寺院を舞台にライブ演奏も披露する「祭り」を3年前に初めて企画。以来、毎年8月に開催し、今年は檀家や地域住民ら約200人が集まるまでに成長した。
2014年、県内在住の実力派ミュージシャン5人で「仏教的」なバンド「英心 & The Meditationalies」を結成し、7月には初めてのCD「からっぽ」も発売。秋田市や東京都内のライブハウスで開いた記念ライブは、ほぼ満員の盛況ぶりを見せた。
ボーカルとギターを担当するほか、作詞作曲も手掛ける英心さんが「僧侶としての目線で作る」という詩は、いずれも「仏教的」。人間の欲を戒める仏教用語「知足(ちそく)」の大切さなどをレゲエやラテン、サンバなど中南米音楽が軸の演奏に乗せて訴える。
「僧侶とミュージシャンの立場を分けるのではなく、自然体で音楽活動に取り組んでいる。地元の皆さんの笑顔をステージから見られるのはうれしい」と英心さん。「地元を離れていく若い世代も少なくないが、私自身が地元を楽しむ姿を見てもらうことを通じ、この地域で生きる意味や仏教について伝えていくことができれば」と話す。
次回は10月17日・18日、「エリアなかいち・にぎわい広場」(秋田市中通1)で開催予定の「秋田オクトーバーフェスト2015」特設ステージで演奏を披露する。入場無料。