秋田出身の陶芸家・田村一さんの展示会「殻の奇譚」が現在、アートスペース「ココラボラトリー」(秋田市大町3、TEL 018-866-1559)で開催されている。
早稲田大学美術部で陶芸の魅力に取りつかれて以降、卒業後も独学で陶芸を学び、現在は栃木県益子で益子焼の製作に取り組む田村さん。
地元では2回目の開催となる同展。白色系をベースに異なる色合いの上薬を二重に使ったり、ストライプ状の彫りを入れたりしたオリジナルデザインの食器類や花器など「益子焼」作品約200点を展示販売する。価格帯は3,000円~5万円。
中でもユニークなのは、「かやき」専用鍋。ホタテなどの貝殻を鍋代わりに使う秋田の郷土料理「かやき」。田村さんの祖父が「かつては一般的だった30センチほどの貝殻を最近では見かけなくなった」と話したことをきっかけに、高い耐熱性を持たせた直径30センチほどのホタテ貝をモチーフにした「鍋」作品を制作した。
同作品の好評を受け、その後、「ジンギスカン」専用鍋も制作したほか、大阪の知人からは「うどんすき」専用鍋の制作依頼も受けているという。「鍋は食器と違って道具の側面もあることから、耐火性など通常の作品制作とは違った配慮も必要。わたし自身も料理が好きなので肉料理用グリルパンも作ってみたい」(田村さん)とも。
同展では、友人のカメラマン高橋希さんが田村さんの作品を撮影した写真も展示するほか、23日~25日には「花道みささぎ流」(大阪府堺市)家元の片桐功敦さんが、田村さんの花器を使って生けた生け花作品も展示する。
開催時間は11時~20時(最終日は17時まで)。入場無料。