若手の川連(かわつら)漆器職人らの試作品展示発表会「nadede展-漆塗りのある空間 」が現在、アートスペース・ココラボラトリー(秋田市大町3)で開かれている。
秋田県湯沢市に伝わる伝統工芸品「川連漆器」。工芸品の制作で培った漆塗りの技術を転用できる分野を開拓することなどを目的に産地の若手職人らが川連漆器青年会を立ち上げ、2011年から研究を進めている。
同青年会が漆塗り技術の転用可能性が高い分野として選んだのは、「住宅」「自動車」「酒器」の3分野。試作したのは、複数枚を組み合わせることで屋内の仕切り板として使ったり、絵画として鑑賞したりすることができる漆塗りパネルや、漆塗りで蒔絵(まきえ)を施した一升瓶・ビール・シャンパン向けグラス類、ダッシュボードパネルなどの自動車内装部品など60点以上。
「漆塗りによる空間演出など若者らしい発想で新分野に挑戦した。漆塗りパネルは住宅建材関係者の評価も高い」と話すのは、取り組みをサポートしてきたデザイン会社経営の時田和幸社長。同青年会の佐藤史幸さんは「合成塗料と異なり、使い込むことでツヤが増すなど漆ならではの魅力も多い」とし、「素材への漆の密着性や耐久性などの課題もあるが、モノとして高いこだわりが求められる分野を中心に川連塗りの魅力を提案していくことができれば」と意気込みを見せる。
開催時間は11時~19時。入場無料。3月30日まで。