天気予報

24

15

みん経トピックス

文化センター

特集

インタビュー2018-05-14

すきかちっ Vol.3/ウタトエスタジオ #01

記事提供:すきかちっ

秋田県出身のシンガー・ソングライター渡部絢也さんと、愛媛県出身のイラストレーターいせきあいさんによる制作ユニット「ウタトエスタジオ(Utatoe Studio)」。歌と絵を組み合わせたライブパフォーマンス、絵本やミュージックアニメ、テレビCMなど、さまざまなコンテンツを共同制作している。その声とその手から生みだされる作品は見る人の心を捉えて離さない。今回の「すきかちっ」はそんな二人の出発点に迫る。 ※以下、渡部=渡部絢也さん、いせき=いせきあいさん

始まりはチンアナゴ

Matirog「今回の『すきかちっ』のゲストは制作ユニット『ウタトエスタジオ』のお二人です。シンガー・ソングライターの渡部絢也さんとイラストレーターのいせきあいさんです。よろしくお願いします!早速ですが、お二人セットでインタビューを受けられることってありますか?」

いせき「ありますよ。新聞社の取材で受けたことがありますね」

渡部「昨年は、クラウドファンディングをきっかけに、地元紙から二人でインタビューを受けました。インタビューのときはいつも僕がしゃべりがちなので、今日は少し抑えようと思います(笑)」

Matirog「ラジオにお呼びしたときも、絢也さんに話を振りがちなので、今日は僕と絢也さんがインタビュアーになって、あいさんにたくさんお話していただきましょう!ウタトエスタジオと言えば、なくてはならない存在が『チンアナゴ』ですよね。チンアナゴに関わる活動は、どのくらい続けていらっしゃるんですか?」

いせき「7年半になりますね。2010年に2人で行った男鹿水族館GAOでチンアナゴに出会い、感激して、渡部が同年10月に歌を作ったのが始まりです」

Matirog「その『ちんあなごのうた』はYouTubeでの再生回数が50万回以上と聞いています。すごいじゃないですか!」

渡部「波はありますが、1日に100~200回は再生回数が増えているので、嬉しいです」

Matirog「サビの「ちん ちん ちんあなご~」のフレーズがとても印象的で、大人も子どもも口ずさみたくなる歌ですよね。歌が完成した後にアニメーションができましたが、アニメーションのイラストは、あいさんが描いたんですよね?」

いせき「はい。歌が面白かったので、これはアニメーションを作ってYoutubeにアップしたら子どもたちも喜ぶかなと思い、作りました」

渡部「アニメーションを発表した当時(2010年)は、ニコニコ動画の方が反響があるんじゃないかと思い、ニコニコ動画とYoutubeの両方にアップしました。Youtubeにアップした方の動画がキッカケで、秋田のNHKでも取り上げていただきました」

Matirog「反響も大きかったんでしょうね。動画から始まり、今ではさまざまなグッズも出ていますよね。ぬいぐるみなんてポケットサイズの小さいものから抱き枕サイズの大きいものまでバリエーションの多さに驚きます!」

スキルアップは、チンアナゴと共に

Matirog「キャラクターグッズなども販売され、チンアナゴ現象はかなりの広がりを見せています。その裏でいろいろと大変なこともあったかと思いますが、いかがですか?」

いせき「正直チンアナゴ現象がここまで広がるとは思っていませんでした。当初は勢いだけで制作したので、グッズ展開の話が来たときに、デザイン監修を依頼されて『ヤバい!そこまで自分に実力がない!』と焦りました(苦笑)。そのため、力不足を補えるよう、ソフトウェアの使い方を必死に勉強しましたね」

Matirog「グラフィックアートで不得意分野は、どのようなことでしたか?」

いせき「もともと『フォトショップ』(画像編集ソフト)で描いていたんですが、製造販売元の担当者の方に製品化するにあたってイラストを引き延ばすなど、細かい部分まで編集することができる『イラストレーター』(グラフィック作成ソフト)のデータが必要と言われました。『イラストレーター』は将来的にも必要になるだろうと思い、独学で身に付けました」

Matirog「独学で!あいさんは努力家ですね!」

渡部「チンアナゴ現象の広がりに比例するように、彼女もスキルアップしていきましたね」

いせき「チンアナゴは、普段は砂の中にいて、ゆっくりとエサを捕まえ、危険を察知するとすぐさま砂に隠れます。私も大きな仕事が来ると身を潜めることがありますが、その間に必死に技術を身に付けようとしますので、そのあたりはチンアナゴと似ているかもしれませんね」

Matirog「今日はチンアナゴのぬいぐるみ『にっしー』と『もひちん』をお持ちいただきましたが、『もひちん』は、なぜサングラスをかけているんですか?」

いせき「ロックな『ちんあなごのうた』を聴いて、ロックと言えばモヒカンとサングラスかなと思い、このようなデザインになりました」

Matirog「あいさんがキャラクターをデザインされる際に、絢也さんはなにかアドバイスをなさいますか?」

渡部「でき上がったものに対して、いいと思えばいいと言いますし、ちょっと違うなと思うと意見を言う程度ですね」

いせき「『にっしー』の顔を描くのが難しいんです。目と目の間隔というかバランスが特に難しく、イメージと違うものになってしまったときがあって、なかなかキャラクターとして安定しませんでした。自分ではOKだと思って描いた『にっしー』でも、彼から見ると違和感があったようで、その時はアドバイスをもらいましたね」

渡部「2017年11月に出版された絵本(とびだせ!ちんあなご!ゆうえんちはおおさわぎ/マイクロマガジン社)のときもそうでしたよね。絵本を開いて1ページ目のにっしーに何か違和感があって何度か彼女に提案しました」

いせき「もひちんは一発で完成できるのですが、にっしーは何年描いてもなかなか安定せず、難しいです(笑)。渡部は客観的に見てくれるので助かります」

Matirog「同じキャラクターを長年描き続けるのって、相当な技術が必要ということなんですね」

遠回りしたけれど、やっぱり好きを価値に変えたい

Matirog「あいさんは、子どものころから絵を描くのが得意だったんですか?」

いせき「そうですね、絵は好きでした。母がアクリル絵の具でカントリー風の絵を描くトールペイントをしていて、それを見て育ったのが影響しているのかもしれません。父も油絵を描いています」

Matirog「ご両親とも絵を描いていらっしゃるんですね!」

いせき「小さい頃から漫画家やイラストレーターになりたいと思っていました。高校生の頃、新聞記者になりたいと思った時期もありましたが、最終的に絵を通して人の役に立つ仕事がしたいと思い、独立してイラストレーターになりました」

Matirog「このウェブマガジンのテーマ『あなたの好きを価値に変えるヒント』にピッタリです。単に好きで絵を描いているだけだと、ビジネスとして成り立ちませんからね」

いせき「新聞記者のほかに看護師、作業療法士のような介護の仕事など、いろいろ興味がありました。高校受験の時には音楽科に合格しましたが、そこで音楽の道へ進むことが決定してしまうことに躊躇(ちゅうちょ)してしまい、普通科に進みました。高校卒業後、絵について本格的に学ぶことも考えましたが、もう少し社会の仕組みについて勉強してみたいと思い、大学は法文学部に進みました」

Matirog「一方で、絢也さんはどのような道を歩まれてきたんですか?」

渡部「僕は大学で教員免許を取得しましたが、実際の所は仮面大学生でしたね(笑)」

Matirog「仮面大学生ですか?!」

渡部「教員免許取得のために勉強はしていましたが、やっぱり音楽がやりたかったんですよね。大学の4年間は音楽に費やしました。卒業後、地元金融機関に一度は就職したものの、結局は音楽をあきらめきれず退職して、シンガー・ソングライターの道へと進みました」

ブレーンストーミングで生まれた「納豆ラーメン」新CM

Matirog「絢也さんは、シンガー・ソングライターとして活動されて何年になりますか?」

渡部「丸8年になります。2010年4月から音楽活動を開始して、その半年後に『ちんあなごのうた』ができました。『ちんあなごのうた』の後に「秋田HATA☆HATA☆ROCK&SAMBA!!」という曲が生まれ、コミカルな曲が僕の代名詞となりましたが、もともとはバラードを作りたかったんですよね。そのため、回りが僕に抱く『コミカルな歌を歌うシンガー・ソングライター』というイメージに対して最初は複雑な想いでした。3年くらい前まで葛藤していた時期がありましたが、ウタトエスタジオの二人で子ども向けのライブをした際に、とても喜んでくれる子どもたちの様子を見て、僕自身『その方向性でもやってみたい!』という気持ちも芽生え、コミカルな曲を作る自分を認めることができました」

Matirog「絢也さんは、僕の小学校と高校の後輩ではありますが、僕にはできないことができるし、僕に持ってないものを持っていて、天才だ!と尊敬しているんですよ。10年後、20年後を見据えて、今はこれに集中する時期だ、と物事を俯瞰(ふかん)的に捉えていますよね」

渡部「Matirogさん、それは買いかぶっていますよ!(笑)」

Matirog「いやいや、絢也さんはご自身を多角的に分析されていますよ。あいさんはどう感じますか」

いせき「彼は数学が大好きなこともあってか、分からないことを分からないままにしませんね。感覚的な部分も持ち合わせていますが、その感覚ですら頭の中で論理的に組み立てたいという気持ちが強いように感じます」

Matirog「異なる才能を持ったお二人が絶妙に支え合い、バランスを取り合っているからこそ、『ちんあなごのうた』や数々の作品が生み出されたのでしょうね。最近では林泉堂『納豆ラーメン』の新テレビCMも手掛けていらっしゃいますが、ラーメン君とヤマダフーズ(美郷町)のキャラクター『なっちゃん』が海辺で出会い、結ばれたシーンは衝撃的でした!しかも決めセリフは『糸引くうまさ』!うまいですよね。あのCMの完成までのストーリーをお聞かせいただけますか?」

渡部「林泉堂さんからの指示は特になく、自由に作ることができました。納豆ラーメンのパッケージの裏に『糸引くうまさ』というフレーズがあったので、そのフレーズを生かしたいなと思いました」

いせき「なにもないところからCMを作り上げていく必要があったので、新しいアイディアを生み出すために、二人でブレーンストーミングを試みました。納豆、糸、赤い糸…というようにイメージを膨らませていきました。そして、流行やトレンドも意識しましたね。当時アニメーション映画『君の名は。』が話題でしたので、感動的なシーンも取り入れてみました」

渡部「感動的な音楽に合わせて、シュールなことを入れ込むことで笑いも誘えるかなと」

Matirog「あのCMは面白かったですよ!納豆の糸のフワっとした雰囲気に、あいさんのデザインのこだわりを感じましたよ。15秒のCMですが、見終わった後も納豆の糸が脳裏に刻まれましたもんね。十分、糸(あと)を引いてましたよ」

いせき「気づいていただけて嬉しいです!納豆が好きなのでこだわりました」

渡部「彼女は、天才肌と言うよりも努力の人だと感じます。納豆ラーメンのCM制作のときも、最初のデザインからのブラッシュアップが凄まじいんですよね。『ははは!』と笑えるものを完成させるまでの努力が天才的です」

Matirog「愛嬌とイケメン具合がバランスよく融合されたラーメン君を完成させた、あいさんは素晴らしい才能の持ち主ですよ!」

大切なのは、伝えたい人

Matirog「秋田県のCM業界へは、お二人の強みをどのように売り込んでいったんですか?」

渡部「林泉堂さんのパターンでいえば『秋田HATA☆HATA☆ROCK&SAMBA!!』という曲をライブで見ていただいたのがきっかけでオファーをいただきました」

Matirog「『秋田HATA☆HATA☆ROCK&SAMBA!!』と言えば、秋田県の25市町村の名物がいたるところにちりばめられている力作ですよね。お二人を見ていると、営業活動が得意なんだろうなと感じます」

渡部「当時はよく売り込んでいましたね。『秋田HATA☆HATA☆ROCK&SAMBA!!』が出た翌年の2012年には、各市町村の観光協会や市の観光課などを、アニメーションに出てくるキャラクターが描かれたハッピを着て駆けずり回りましたね。当時はとにかく必死だったこともあって、ライブ活動を始めて3年目くらいでしたが、きちんと地域貢献できているのかなと疑問を抱くこともありました。この1、2年ほどでようやくライブパフォーマンスのコツをつかんできて、出演料に見合ったパフォーマンスを提供できるようになったと思います」

Matirog「圧倒的な量をこなすことで見えてきたものがあるんですね」

渡部「ライブ会場で離れたところにいる人に『こっち来てー!歌ってるよー!』とアピールするのではなく、その会場で聴いてくれる一人に向かって歌うことに、気持ちを向けるようになりました。会場にいるお客さん一人一人に対して歌うことで、自ずと聴いてくれる人の数が増えてくることに気が付きました」

Matirog「第1回目に対談した、俳優のゴトウモエさんも、不特定多数に向けて演じるのではなく、誰か一人に向けて声を届けた方が、最終的に全員に伝わると言っていました!あいさんが描く絵に関しても同じじゃないですか?」

いせき「そうですね。私も最初は家族や友達など特定の人を笑わせたいという思いで描いていました。『ちんあなごのうた』のときも、渡部が面白い曲を作ったので、彼が面白いと感じてくれるイラストを描こう!と思いましたからね」

Matirog「その結果、見ている人みんなが楽しめる作品へとつながっていくんですね」

★次回~渡部絢也さん&いせきあいさんの「あなたの『好き』を価値に変えるヒントvol.3 #2」は、5月21日に掲載予定です!お楽しみに!

すきかちっ(Phiomn)

グローバルフォトニュース

最新ニュース

フォトフラッシュ

「デジタルがアナログを超えることはない」と持論を展開する海老名保さん 秋田で新会社社長ゲストに飲酒座談会 「失敗から学ぶこと」など談義(この写真の記事へ)
[拡大写真]

アクセスランキング