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秋田・潟上在住の前衛芸術家、注目集める-東京で個展開催も

活動の幅を広げる潟上市在住の前衛アーティスト・伊藤誠吾さん

活動の幅を広げる潟上市在住の前衛アーティスト・伊藤誠吾さん

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 潟上市在住の前衛アーティスト・伊藤誠吾さんが現在、都内の企画展にも出品するなどして注目を集めている。

前衛アーティスト・伊藤誠吾さんがイベント会場で振る舞った「アスファルト丼」

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 2001年に渡米し、ニューヨークのスタジオで演劇を学びながら、パフォーマンス活動に取り組んできた伊藤さん。2007年に帰郷し、「秋田」をテーマに前衛的な表現活動を行ってきた。

 マスメディア情報に対する疑問を1台のテレビを使って表現した作品や、秋田県知事と県内25市町村長の写真を1枚の作品として制作した作品、「枝豆」を通じて現代社会を風刺した作品、地元で開かれる芸能イベントの模様を撮影した映像作品など、地域の観察から生まれた作品を中心に発表を続ける。1月に秋田市内で開かれた美術展覧会へ出品した伊藤さんの作品が、国内外で活躍する美術家・鴻池朋子さんの目が留まったことをきっかけに10月、東京都港区内のギャラリーで開かれたグループ展にも招かれるなどして注目を集めている。

 12月8日には、潟上市を独自の視点から捉えたトークショーも秋田市内のギャラリーで開き、参加者とディスカッションを行った。潟上市が縄文時代のアスファルト産出地であったことにちなみ、米飯をイカ墨で調理した「潟上名産・アスファルト丼」も考案。参加者に初めて振る舞うなど、表現の幅を広げている。

 「20代を県外で過ごしたため地元への思い入れが薄く、どうすれば秋田が好きになれるだろうかとの思いから、『秋田』をテーマに表現活動に取り組んできた」と伊藤さん。「来年のテーマは『働く』。誰でも抱えているはずの仕事上の悩みについて、一般企業の社員も巻き込みながら『心の本音』を表現し続けられれば」と意気込みを見せる。

 秋田市在住のグラフィックデザイナー・後藤仁さんは「伊藤さんの作品の評価はまだ固まっていないが、作品を通じて鑑賞者の言葉を引き出そうとしているようにも見え、賛否ある議論を引き起こしている時点で成功しているのでは。現代アートは表面的な美しさを追究することばかりではない」と評する。

 次回の個展は来年3月、東京都内で開催予定。

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